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表題曲“SCARY MONSTER”の音がとにかくいい。瑞々しいきらめきを感じさせるギターが聴こえてきた瞬間、心と身体がハッと目覚めるような感覚に包まれ、臨場感に溢れたアンサンブルとともに心地よくドライブしていく。さらにコーラスワークの響きも加わり、奥行きある、豊かな音像が実現しているのだ。ロンドンの名門「メトロポリス・スタジオ」で録音された効果ももちろんあるだろうが、「こういう音で録りたい」というメンバーの明確なビジョンがなければ、こんなにも素晴らしいサウンドにはならないはずだ。「他者と向き合うこと」をテーマにしたリリックとポップに振り切ったメロディの鮮やかなコントラストを含め、この曲はバニラズのアンセムとして浸透することになるだろう。柳沢進太郎が作詞・作曲・歌唱を担当した“正体”、TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』第2クールエンディングテーマ“ダンデライオン”もそうだが、自らの表現欲求に従い続けるバニラズの現在地を実感できる意欲作だ。(森朋之)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年11月号より)
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