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昨年のアルバム『Terminal』はタイトル通り世界中の「駅」を訪れるようにグローバルなリズムとアレンジを取り入れバンドの音世界を拡張しつつ、その半面でクリーンに冴えるギターと平熱で醒めたボーカルという基盤を一層強固にした会心作であった。そうして充実の季節を迎えたバンドが放つ、さらなる決定打である。《まあまあ 僕では敵いませんよね》《こんなに好きでも敵いませんかね》と反復することで、自身の恋心に巣食ういかんともしがたい諦念との淡きせめぎ合いを描き出したリリックもいい。ただそれ以上に、ジョン・レノンの筆の中でも屈指の美曲であるビートルズ“In My Life”に歌謡曲とシティポップを混交したアレンジを掛け合わせることにより「2025年の日本のポップ」としての確たる強度を獲得した曲作りが凄まじい。彼ら4人は、なんでもできるし、何をしても自分たちの音になるという境地に達したからこそ、真正面から最強の王道をやってのけた。バンドの立つステージを一段も二段も引き上げ得る強力な楽曲だ。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年11月号より)
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