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子ども時代は過ぎ去り、でも達観するにはまだ早い。今はただ全身全霊でこの「瞬間」を、街と時代の空気を、生まれゆく哀しみと喜びを目一杯に吸い込み、颯爽と「人生」という名の舞台に駆け出す。そんな、ひとつの「いのち」の蒼く生き生きとした姿が目に浮かぶ。「作詞作曲:宮本浩次、編曲:まふまふ」というタッグによって生まれた1曲。Adoの歌唱は自然光のように眩く、繊細で力強い。メロディアスなバンドサウンドには肌で感じる風のような親密さと、悠久の時の流れを伝えるような壮大さが同時に備わっている。《風と空と雲と街と私/ああ きらめく光と夢抱きしめて私は走る》──そんな歌い出しで始まる歌詞は、宮本がAdoに伝える「歌うこと」への賛歌であり、さらに普遍的に「生きること」への賛歌と言える。「この世界のすべてが私のお気に入りなの!」と叫ぶような全能感に満ちた歌詞は、僕らにも、愛の可能性を抱きしめ、ひとり世界を見つめていたあの日の眼差しを思い出させてくれる。(天野史彬)(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年10月号より)
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