『ROCKIN'ON JAPAN』がお届けする最新邦楽プレイリストはこちら
昨年フロントマンのくぅを死によって失ったNEEの、3人体制後初の楽曲。作詞作曲は夕日(G・Vo)が務め、アレンジとボーカルは3人全員が担当した。生まれざるを得なかった音楽である。狙いや役割意識や使命感によって生まれた音楽ではない。どうしようもなく生まれざるを得なかった音楽。でも、だからこそ、この曲は私たちと平等である。「生」に翻弄されているという点において。自分自身の肉体や、社会のシステムや、不在や終わりにとらわれながら、悲しく、愚かしく、力強く、儚く、解決はなく、回り続ける。そんな根源的な「生」のもとに、この曲と私たちは平等に繋がっている。そして、その繋がりは、思えば以前も今もNEEの音楽と私たちの間にあり続けている繋がりである。きっと記憶で塗り固められた人の頭では、何かを思い出すことなんてできない。《私の頭の中から出ていって》――繰り返し歌われるこのフレーズは、いつか何かを、本当の意味で思い出すための願いである。(天野史彬)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年8月号より)
『ROCKIN'ON JAPAN』8月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。