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この春に高校を卒業したばかりの3人から届けられた初の流通盤。にしむらだいち(G・Vo)が当時好きだった人に向けて作った“会いたくなったら”。ロックバンドとしての渾身の所信表明《誰かの背中 押せるような/曲が書きたくて》《それでも僕は歌うんだ/誰かのヒーローになるために》を瑞々しく弾けるサウンドを通して高らかに鳴らした“HERO”“青春ロックを歌って”。地元への深い想いが滲むライブ定番曲“鳩ヶ谷”もそうであるように、これまでの曲の中には、にしむらの極めてパーソナルな筆致が色濃く滲むものが多かった。一方、新曲“シンデレララブストーリー”“エンディング”ではパーソナルな筆致が後退し、私たちの日々の生活に伝う昂る恋心や切実な心情に丁寧に寄り添う言葉が増えた。歌と演奏もこれまで以上に大らかな包容力と深みを感じさせるもので、その結果として、とても普遍性の高いラブソングへと結実している。今はまだフィシュリと出会っていない《誰か》にも、きっと届くであろう射程の広さを感じる。(松本侃士)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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