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連続リリース第4弾“BAE”。これまでの3作も素晴らしかったが、これはjo0jiのソングライティング力と歌の表現力の無二性を決定付ける傑作と言っていいと思う。jo0jiは人間の揺らぎを巧みに音、歌、言葉で表現していると以前にも書いたが、本作でさらに驚いた。不穏な音から始まり、子どもの声を挟んで、どん底まで行った先で一気に明るい音世界へと移る。最後には不穏さを残したままサビが繰り返されるが、ほんの少しだけ、音が弾んでいる。誰しもの脳内にいる、自身にトゲを刺す自分と自身を抱きしめる自分、目の前のことに飲み込まれそうな自分とそれを俯瞰で見る自分、《太陽から逃げていく》自分と《太陽に向け駆けていく》自分を、曲全体で描き上げている。人間は急に前向きになれるはずもなく、感情を行き来しながら「ほんの少し弾む」くらいの心の上向き方こそがリアルだろう。しかもその中で、jo0ji自身が大衆や子どもを舐めずに音楽を作っていく決意までが綴られているのだから、凄まじい創作力だと思う。(矢島由佳子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年11月号より)
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