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2024年にデビュー20周年を迎えるフジファブリックの、約3年ぶりのフルアルバム。表と裏の無限ループ“KARAKURI”、良質な軽さで一体感を誘う“ミラクルレボリューション No.9”、ここまでのカオティックな流れから一転、日本人の心のうちに着地する“Portrait”と、いきなりのジェットコースター的展開に耳を掴まれる。また、聴き進めるうちに、今作のひとつのテーマが「音楽」であることに気づく。NHK『みんなのうた』でもおなじみ、擬音語や子どもにもわかりやすい言葉とスケール感がある展開で音楽の面白さを表現した“音の庭”と、《民生の新譜が良かったよなぁ》なんてフレーズを挟みながら、音楽への想いを歌う“音楽”という流れは象徴的だ。彼らの持ち味の郷愁を極めた“月見草”や、モノクロ映画のようなオープニングから遊園地のようなロマンティックな気持ちに連れていく“ショウ・タイム”には、様々なバンドを思い出させる雰囲気もある。12thアルバムにして、尽きない音楽への愛情と冒険心が表れた傑作。(高橋美穂)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年4月号より抜粋)
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