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《宇宙人 僕らを見張ってる》とSF的世界観の“i 触れる SAD UFO”で幕を開ける崎山蒼志のメジャー3rdアルバム。「宇宙」がテーマとのことだが、彼自身が体験した未知との遭遇を経て、崎山蒼志の音楽が宇宙のように無限に広がっているという印象だ。先輩アーティストや多彩なアレンジャーと交わって前作『Face To Time Case』を作り上げ、自身も二十歳になった。人との出会いはもちろん、音楽的にもさまざまな刺激を受けたのだろう。今作では殆どのアレンジを自ら手掛け、テクノとギターがせめぎ合う“プレデター”や、多重録音を活かした“いかれた夜を”、ミニマルでメロウな“翳る夏の場”など、エクスペリメンタルな楽曲が並ぶ。より深く彼の頭の中を覗いたような中毒性が心地好い。同時に、心にどこまでも染みこんでくる歌声と、研ぎ澄まされたギターの音色はやはり軸であり唯一無二。生々しい迫力に満ちた弾き語り曲“太陽よ”に渦巻く生命力と情念に圧倒された。彼の宇宙はまだまだ果てが見えない。(後藤寛子)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年10月号より抜粋)
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