魔法なき時代をこじ開けた音塊

THE PINBALLS『ZERO TAKES』
発売中
ALBUM
THE PINBALLS ZERO TAKES
結成15周年の節目でもある2021年をもって活動休止することを発表したTHE PINBALLSが、初期楽曲を中心に現在の視点とスキルで再解釈・再レコーディングした15周年メモリアルアルバム。《荒れ地を選んで這ってゆけ/一滴の血も 涙もいらない/ただ好きな色に/胸を焦がしてゆくんだ》のフレーズとともに、業火の如きアンサンブルが頭と心に迫る“ICE AGE”。《君と踊れれば 墓場でも構わない》と沸き立つ情熱をタイトなダンスビートに重ね合わせた“ダンスパーティーの夜”。ロックンロールに抱き続ける愛と誇りが気高く噴き上がる“ニューイングランドの王たち”……。ロックンロールの魔法が解けたこの時代において、なおも紅蓮のロックンロールに身を投じようとするTHE PINBALLSの不屈のロマンを、今作は改めて眼前に突きつけてくる。バンドという運命共同体がひとつの道を走り闘い続けることの難しさと、だからこそ何物にも代え難い尊さ――。THE PINBALLSの原風景とも言うべき今作の10曲から立ち昇ってくるのは、彼らが体現してきたロックンロールの奇跡そのものだ。(高橋智樹)

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