北ロンドンの4人組。かたやシェイムやファット・ホワイト・ファミリー周辺が象徴する「南」のロウでダーティなヴァイブとは対照的に、ドリーミーでユーフォリックな色彩が魅力だ。本作は2枚目で、グラス・アニマルズやジャンゴ・ジャンゴを手がけるニール・コーマーがプロデュースを務めている。
近年の同地を代表するアクトといえばウルフ・アリス。そのエリー・ロウゼルがバックで歌う“Is This How You Love”は目玉だが、全編を通じてサイケデリックな高揚感と淡いダンス・フィールが感じられるところが今作の醍醐味だろう。音響的なギターのアレンジが美しい“Where Wildness Grows”。カインドネスも連想させる“Rising Tides”のそこはかとないファンク・グルーヴ。また、“Carrion”を始め随所に聴けるネオアコ的なピュアなロック・サウンドは、コミュニオンズらコペンハーゲンの新世代に通じるものも感じさせる。「北」の新たなアイコンとなりそう。(天井潤之介)
多彩な開花を見せた充実作
ゲンガー『ホエア・ワイルドネス・グロウズ』
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