根は真面目でオタク気質なフランス人青年ふたりが、毎晩毎晩音楽と酒と女でハイになりっぱなしのまま、トレーラーで寝泊りしながら20日間北アメリカを旅して回るという、非日常も甚だしいシチュエーションに放り込まれたらどうなるか。そういう壮大な人体実験の記録が、つまりこの作品である。どうなるかというと、欲望と感情のタガが外れておかしくなるのである。そしてその状態を僕たちは「ロックンロール」と呼ぶのだ。本作のDVDに収められている風景は、絵に描いたようなロックンロール・ライフそのものである。豪邸での華やかなパーティや、楽屋にたむろするグルーピー。ケンカして警察沙汰になったり、トレーラーに女を連れ込んだり。その手の逸話はロック史を振り返っても枚挙に暇がないが、いまどきこれほどまでにクリシェに忠実な連中は、ロック・バンドにだっていないだろう。
ジャスティスは「ロック」である、と僕はこれまで何度も書いてきた。それは本作のライブCDを聴いても明らかだ。しかし、ここで言いたいのは単純に音楽的な部分や視覚的な部分(革ジャンやマーシャルのアンプ)だけではなく、彼ら自身のアティチュードについてである。彼らはいつも「オーディエンスのエモーションを喚起したい」と言っているが、それこそロックの本質だと思う。そして、それが意思のレベルで彼らの中に息づいているからこそ、そのツアーはこんなことになるのであり、このDVDに記録された顛末がパロディに堕しない生々しさをもっているのも、結局のところ彼ら自身がロック的存在だからに他ならない。あらためて、こいつら最高だ。(小川智宏)