世界中のスタジアム規模の会場で鳴り響いてもなんら違和感を覚えない、完全にオンタイムでユニバーサルなロックサウンドが鳴っている。エモやラウドを源泉にしつつ、曲によっては現行のEDMやそこから派生したトロピカルハウスなどにも通じるエッセンスも見出せる。ここにはもう、日本のバンドシーンに対する目配せはないし、ジャポニズム的な表現性と価値基準で海外に訴求しようなどという視座も皆無だ。だから、アヴリル・ラヴィーンも「普通に」客演している。前作『35xxxv』は本作に向かうための序章としてアメリカで制作及びレコーディングを実施したのは間違いないし、だからこそ日本のロックバンドとしての面影が残っていた『35xxxv』はそれまでのONE OK ROCKを総括するという意味でも、決定的な新局面に立とうとしているバンドのネクストをイメージできるという点においても、重要な作品だった。重厚でありながら無尽蔵に膨張する奥行きを満たしているサウンドプロダクション、英語9割日本語1割という配分を徹底しているリリックと発音も含めてさらにスキルアップしているTakaのボーカルの説得力よ。痛快だ。（三宅正一）