2021年に発表した『ジュビリー』で世界的な絶賛を受けたジャパニーズ・ブレックファスト。同年に発表した亡き母の記憶を巡る回顧録『Hマートで泣きながら』もベストブックの一冊に選ばれ、ミュージシャンとしても作家としても、その評価は確固たるものとなった。
だからこそ、それに続く新作にはプレッシャーも少なくなかったという。新作『フォー・メランコリー・ブルネッツ(&サッド・ウィミン)』はいま引っ張りだこのプロデューサーであるブレイク・ミルズを迎え、立体的なアコースティックサウンドが聴ける一枚へとモードを変えている。切なさと温かさが同居する、とても優しい一枚だ。ゴシックやロマンス文学に影響を受け、誘惑や欲望をテーマにした歌詞のストーリーにも引きこまれる。
ロッキング・オン4月号では、ミシェル・ザウナーにそんな新作についてたっぷり聞いたインタビューを掲載している。ミルズとの作業はこれまで経験したのとまったく違うものだったそうだが、結果として、ジャパニーズ・ブレックファストとしても新たなフェーズに突入した作品であることがよくわかる。そして、『ジュビリー』で意識的に追及していた「喜び」に対し、新作の「メランコリー」とは何なのか。ストーリーテラーとしてもさらに成熟したザウナーの現在地点に注目したい。(木津毅)
ジャパニーズ・ブレックファストの記事が掲載されるロッキング・オン4月号