マライア・キャリーの現在と過去を見事に紐解いてみせた武道館公演をレポート!

マライア・キャリーの現在と過去を見事に紐解いてみせた武道館公演をレポート! - 2018年10月31日/(c)HIP2018年10月31日/(c)HIP

4年ぶりとなるマライア・キャリーの武道館公演。ここのところアメリカではニューヨークやラスべガスでの定期公演が続いているのだが、今月リリースされる新作『コーション』を控えてのアジア・ツアーの一環だ。特にラスべガスでの定期公演が続いたと聞くと守りに入ったセットリストになるのではないか、と思わないでもなかったが、マライア独自の時代感覚もしっかり踏まえつつ、彼女の音楽性とパフォーマンスを聴かせ尽くすライブとなっていたのが素晴らしいところだった。

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バンドによるイントロの後、大歓声で迎えられながら登場したマライアはゴールドのドレスで登場。観客への挨拶を織り交ぜながら『バタフライ』は憶えているかと呼びかけ、オープナーとして披露したのがその1997年の『バタフライ』からの“Honey”。実際、今回のツアーの下敷きとなった定期公演も「バタフライ・リターンズ」というタイトルで、アルバム『バタフライ』への思い入れを表したものになっている。それは『バタフライ』や“Honey”がヒップホップやダンス系プロデューサーとのコラボレーションへと方向転換した画期的な作品で、それまで保守的だったマライアの作品世界を一変させ、一躍90年代R&Bの一線へと送り出すことになったからだ。

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そんな自身の楽曲群や、あるいは3曲目の“Make It Happen”のように王道歌姫としての自身のキャリアを築き上げたファーストから1995年の『デイドリーム』までの楽曲などをまんべんなく取り上げ、さらに新曲も紹介していくのが今回のセットの内容だ。聴きやすくもあり、刺激もあるという意味で、マライアの過去と今をどこまでもわかりやすく紐解くものになっていた。

新曲は“The Distance”や“With You”が紹介されたが、それぞれがマライアのコンテンポラリー・アーティストとしての楽曲とオーソドックスなバラードを体現する曲となっており、この日のセットによく馴染みながらも曲としても粒の立ったところをわからせる演奏になっていた。ボーカルもところどころであの高音を聴かせる見せ場があり、衣裳替えも何度も披露し、落ち着いたステージングでありながら、とてもモダンなR&Bにもなっているというマライアならではの魅力に溢れていた。

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一見するとなんの悩みもなく未曾有の成功を手にしたように思えるマライアだが、実際にはキャリアを賭して時代に挑んだからこそ今があるのであって、そんなマライアの歩みがよくわかる演目となっていたところがとてもよかった。(高見展)

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※レポートは11月1日のものですが、ライブ写真は10月31日のものを使用しています。
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