という研究記事がニューヨーク・タイムズに掲載されていて、80年代、90年代、そして2000年代と、ヒット・ソングの歌詞の傾向は、世代を経てどんなふうに変わってきたか、検証されている。それによると……
90年代に入ってから、大学生を対象としたアンケートにおいて、より自己愛の強さが見られるようになり、それにともなって、ヒット曲の歌詞も、孤独や憂鬱を表したり「怒り」や「人間関係の維持」といったテーマを歌うようになったという。ちなみにそういう歌では「I」や「me」など一人称が使われることが多い。「hate」や「kill」といった単語もよく出てきた。
それに対して80年代には、幸福な一体感を表すような歌詞が多く、「love」や「sweet」といった単語もよく出てきたし、「we」、つまり一人称複数形が使われることが多かったそう。
しかしここ最近では、同じような調査のためのアンケートで、例えば「私は素晴らしい人間になるか」といった問いに「イエス」と答える大学生が多く、それと呼応するように、歌詞の内容も、「自分は特別である」という方向性が多くなったのだとか。つまり、ナルシズムの表われ方そのものも変わってきている、ということ。
http://www.nytimes.com/2011/04/26/science/26tier.html?_r=1
なるほど。
そう考えてみると、パンク・ムーヴメントがいかに鮮烈なものだったのかというのもわかるし、ザ・スミスが与えた衝撃や、ニルヴァーナがもたらした世代交代の感覚、ガガが受け入れられる背景というのも当然のような気がしてきます。(羽鳥)