【今月の気になるあいつ】トレノ
アルゼンチンが誇る若手トップラッパー。19年、Red Bull BatallaとFreestyle Master Seriesというスペイン語圏で最も権威あるMCバトルで優勝し、世界に衝撃を与える。20年デビュー作『Atrevido』をリリースし、総再生回数15億回以上を達成。21年のシングル"DANCE CRIP"がラテン・グラミー賞にノミネートされ、2nd『BIEN O MAL』(22年)、3rd『EL ?LTIMO BAILE』(24年)で一躍活躍のフィールドを拡張。26年夏、満を持してフジロックにて初来日を果たす。
現在発売中のロッキング・オン6月号では、「気になるあいつ」にてトレノの記事を掲載しています。本記事の一部をご紹介。
今年のフジロック出演が決まったトレノ。ラップファンから歓喜の声があがった一方で、このアルゼンチン出身のラッパーについて多くを知らないという方もまだまだ多いはず。しかし、トレノは今、世界的に見ても重要なポジションにいるアーティストだ。現行のラテンヒップホップの現在地を指し示すとすれば、その一角を担う、最も大きな存在のひとりであることは間違いない。
トレノの特異さは、人気やヒットの規模もさることながら、ヒップホップの複数の回路——ストリート、バトル、ポップ、グローバル——を、ほぼひとりで接続してしまったことにある。彼は2002年、アルゼンチン:ブエノスアイレスのラ・ボカ地区に生まれた。労働者階級、移民文化、サッカー熱。いわばストリートの象徴のような土地だ。父はウルグアイ出身のラッパー。幼少期からヒップホップが生活の中にあり、ブレイクダンスやビートボックス、さらにはラップも始めるように。つまり、ラップをしないというのは考えられないくらいの環境に身を置いていたわけで、最初からその文化の内部にいたわけだ。いわばトレノは、ヒップホップネイティブ世代の体現者である。
(以下、本記事に続く)
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