まさかのザ・ストロークス新作完成。6月26日に7作目『リアリティ・アウェイツ』をリリースすると発表した。驚きだったのは、前作『ザ・ニュー・アブノーマル』(2020年)のプロデューサーでもあるリック・ルービンが、2022年10月にザ・ストロークスと再びレコーディングしていると語っていたことだ。場所はコスタリカで、「山頂から海に向かって演奏しているみたいで最高だった」と振り返る。これで完成か、とファンが色めき立ったものの、ジュリアン・カサブランカスは「全然できていない」と否定していた。さらに近年は、ギタリストのニック・ヴァレンシと話していない、バンドが経済的理由で存在しているように思える、といった発言もあり、微妙な緊張感が漂っていた。結局、コスタリカでレコーディングされ、その後世界中で仕上げられた。「新しい異常」を掲げた前作は、コロナ禍において“異常”が“日常”へと反転する現実を奇しくも言い当て、バンド初のグラミー賞を受賞。今作も、リチャード・プリンスのカウボーイをジャケットに採用し、「現実が待っている」というタイトルは、どこか不穏な気配をまとっている。一方でティーザーは、80年代的なレトロなイメージに「実物はもっとセクシー」という茶化したコピーが添えられ、絶妙なバランス感だ。先行シングル“ゴーイング・ショッピング”では、「現実が悪化するほど耳を塞ぎたくなる」という感覚とともに、崩壊する社会からショッピングへと逃避する現実を皮肉に描く。サウンドは、80年代的なレイドバックした質感に、これまでにないオートチューンのボーカルが重なり、ニコライ・フレイチュアのキャッチーなベースが際立つ。従来のザ・ストロークスとジュリアン・カサブランカスのサイドプロジェクトであるザ・ヴォイズのあいだを行くような歪んだ感触を残した実験的ポップとして着地している。今の社会に対する不安や絶望を、あえて軽やかな80年代的サウンドに乗せて提示する作品なのかもしれない。すでに“レジェンド”でありながら、なお未来へと踏み出すザ・ストロークス。
その全貌は、サマソニのヘッドラインを前に明らかになる。(中村明美)
ザ・ストロークスの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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