【ライブレポート】誰もが待ち望んだ奇跡の復活! オアシス再結成ライブを現地から完全レポート!

そして、その時が近づく。西陽が強く差し込み、時計の針は20時15分へ。余談だが、オアシス登場前のBGMでは、スレイド “カモン!!”やデヴィッド・ボウイ “愛しき反抗”などが流れ、いずれの曲でもオーディエンスは合唱。刻一刻と近づく歴史的な瞬間へ向け、一層熱が高まっていくのが感じられた。

そのうち、パークの上空にはパラグライダーが飛び交い、何かのサインを描き出す。オーディエンスはオエイシス・コールをリピートし、その時を待った。すると突如スクリーンにデシベルメーターが映し出され、「THIS IS NOT A DRILL」という機械的なアナウンスが繰り返される。そこへSE“ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ”がドロップされ、バンドヒストリーを辿る写真や文字がコラージュされたクールな映像が映し出される。

我らファンが食い入るように見つめる先、ステージに、ついにオアシスが現れた! なんとリアムとノエルは手を握り合い頭上高くに掲げている! 大きなどよめきと歓喜の叫びがあがる。ノエルはリアムをエスコートするような仕草で丁寧にフロントに送り出し、リアムは「Oasis Is Back, Yeah Yeah!」と2度叫んだ。スクリーンには「Manchester. This Is It, This Is Happening.」の文字が点灯し、そのままオープニングの“ハロー”へと流れ込んだ。

《Hello, Hello It's Good To Be Back》だなんて、まるでこの瞬間のために用意された曲ではないか。あまりにも完璧。ここまでのオープニングの衝撃で、一瞬夢と現実の狭間にいるような気分になったが、冷静になってステージを確かめると、当たり前だがリアムが歌い、ノエルがギターを弾いている。ビジョンにはモノクロのリアムとノエルが並んで映し出されている。確かにまた歴史が動き出した。今ここでそれが起きている。その事実を噛み締めた。
 
次に選ばれた曲は“アクイース”。リアムとノエルが互いにバトンを渡し合いながらボーカルをとる姿に改めてじんわりと感動が押し寄せてくる。リアムのボーカルはどこまでも伸びてダイナミック、低音域の深みもまた味わい深く、ロックンロールの魂そのものの響き。どこをとっても申し分なく、最高のコンディションであることが窺えた。ノエルのボーカルは、そんなリアムに寄り添うかのように穏やかで温かみがある。

今回オアシスとしてステージに上がったのは、ギターにポール・“ボーンヘッド”・アーサーズ、ゲム・アーチャーのふたり、ベースはアンディ・ベル、ドラムには初参加のジョーイ・ワロンカーが加わった。初期メンバーのボーンヘッドを中心に、いずれも実直で職人的に、ある時は大胆に、力強いプレイでオアシスの音を体現していた。

“モーニング・グローリー”をはじめ、ファースト、セカンドからの曲が展開されていく。オリジナルに忠実なプレイ、かつ一曲毎の演出がその曲の世界観に鮮やかに色を添える。6曲目“シガレッツ & アルコール”ではリアムがジョークを交えながら、オーディエンスに後ろを向き隣の人と肩を組み飛び跳ねるよう促す。

マンチェスター・シティのサポーターが行う“ポズナン”と呼ばれるパフォーマンスだ。ファンたちは嬉々として飛び跳ね歌った。何ともピースフルな音楽体験だった。また“スーパーソニック”では、イントロが長尺にアレンジされ、スマートで洗練されたドラミングがフィーチャーされる。

ジェフ・ベックやR.E.M.のレギュラーセッションミュージシャンとして、またアトムス・フォー・ピースやウルトライスタのメンバーとしても活躍するジョーイ・ワロンカーのさすがの名手ぶりも感じられた。アウトロではリアムが天を仰ぎ拳で胸元を強く叩く姿も印象的だった。その後もリアムは度々空を見つめ「Yes! Manchester!」などと何度も故郷の名を連呼し、凱旋公演を誇らしく感じていたに違いない。

同時に、ツアー開幕の地カーディフを経て、バンドの空気感も緊張が和らぎリラックスしたものであることも感じられた。兄弟間で目配せをするシーンも私は見逃さなかった。ふたりの関係が良好であることを裏付けるような場面があちこちにあり、それがまた胸をいっぱいにする。

ここで、アコギに切り替えたノエル歌唱曲のパートへ。“トーク・トゥナイト”、“ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ”と優しく歌い上げ、続く“リトル・バイ・リトル”を歌い始める前、オーディエンスを愛おしそうに眺め頷きながら「こんな最高のファンを持っているのは俺たちだけだ、俺たちだけ」と噛み締めるように繰り返した。

見事なサポートを務めたリチャード・アシュクロフトに敬意を表し、彼のことを歌った“キャスト・ノー・シャドウ”も演奏され、ここまですべての曲が意味を持ち、すべての曲でシンガロングが起こり、すべての曲がハイライトで——こんなライブは、経験がなかった。

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