OPNをZepp DiverCityで目撃!

OPNをZepp DiverCityで目撃!

また一つ忘れることのできない強烈な音楽体験をした。

昨秋に『Tranquilizer』リリースしたワンオートリックス・ポイント・ネヴァー(以下OPN)が、その新作アルバムを携えて約2年ぶりに来日を果たした。電子音楽界の重要人物としてコアな音楽ファンから高い評価を得ていたOPNだが、最近ではダニエル・ロパティン名義で映画『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』のサウンドトラックを手掛けアカデミー賞でもショートリスト入りするなどさらに注目を集めている。今作『Tranquilizer』も彼の音楽への飽くなき探究精神が凝縮された傑作だった。

今回の来日公演では、かのサウンドトラックでも共演したアンビエント/ニューエイジの巨匠:ララージ、そして前回来日でも帯同し、OPNを模した人形を使った驚きのライブセットを見せた映像作家フリーカ・テットが参加。

開演前のZepp DiverCityのフロアは、多くのオーディエンスで埋め尽くされていた。オープニングとして登場したララージのライブセットはあまりに圧倒的で、ツィターやカリンバを使った穏やかな調べに皆がうっとりと聞き入り、ヒーリング体験そのものだった。

そしていよいよ本丸、OPNのライブセットが始まる。暗転した場内は漆黒に包まれ、その時点で上下左右の平衡感覚が鈍くなる。破壊的なノイズと重低音で始まったのは“Nil Admirari”。すさまじい音量に体がビリビリ痺れたが、その音像はクリアで全く嫌な感じがしない。続けて最新アルバムから、浮遊感とタイトな電子音が心地よい“Vestigel”、その後も初期作から最新作までまんべんなく繰り出す。

言うまでもなくビジュアルパフォーマンスも圧巻だ。ステージ後方の巨大スクリーンには、フリーカ・テット操るある一室のジオラマが映し出され、ステージ上にある小さなLEDスクリーンと連動し、さまざまな映像が流れる。多重構造のように箱庭の映像が入れ替わり、激しい光の点滅やスモークで観客の視覚と聴覚をじわじわと混乱させていく。

その後も“Lifeworld”、“Cherry Blue”など、新作からの楽曲群にフロアも呼応する。2000年代のヴェイパーウェイヴ的感覚と、再構築された新しい現在が交差し、『Tranquilizer』のムードがライブ体験として完全再現されていた。

OPNによる異次元の音楽体験は、今後どこまでも拡張し続けるのだと確信した一夜となった。(土屋聡子)
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