本編最後は“ロックンロール・スター”だった。バンドロゴや若き日のふたりの姿がコラージュされた映像の前で堂々と《I'm A Rock 'N' Roll Star》と宣言するリアムには、Yes! You're Rock 'N' Roll Star! とひれ伏すしかないほどの説得力があった。同時に彼らが教えてくれたのは「自分は何者にもなれるんだ」ということ。主人公になれる、ロックスターにだってなれる、と背中を押された日々のことを思い返しながら、本編は終わっていった。
アンコールは、ホーンセクションを従えて豊かな音色の“ザ・マスタープラン”で始まり、続く“ドント・ルック・バック・イン・アンガー”では見渡す限りパーク一面にひしめく観衆が歌う。老いも若きもそこにいる全員で歌う。壮観だった。警備スタッフさえも仕事を忘れ歌い出してしまう様子が微笑ましかった。これこそがアンセムと呼べるものだろう。みんなの“私の歌”だ。
そして、この夜を締めくくる曲は“シャンペン・スーパーノヴァ”だった。すっかり日も暮れた空にビジョンの光が映える。輝く星空をバックにして歌うリアムとノエルの弾くギターの手元が大きくフォーカスされ、誰もが万感の思いで見つめていたことと思う。曲のクロージングでは圧巻の花火が上がり、美しくこの夜が閉じられようとしていた。上がり続ける祝福の花火の下で、リアムとノエルは強くハグを交わしてステージを降りた。
ここで冒頭のシーンに戻る。私は彼らを見送った後も、その場に呆然と立ち尽くすしかなかった。オアシスは私たちを裏切らなかった。私たちが期待した以上のオアシスだった。そのことの喜びと、完璧なまでの復活を遂げた彼らへの畏敬の念が溢れてくる。かつてここまで見事な帰還があっただろうか。それは16年の間に各々が進化していたことの証でもある。すべてのピースがこの日のためにあったのだと確信した。その夜、奇跡の一日を終わらせたくないオアシス・マニアたちはパブに集い、朝までシンガロングした。私もそのひとりだ。いつまでも胸に刻み続けていたかった。
その後ロンドンに戻ってきてからも、オアシスTシャツを着て街に出れば声をかけられる。一足先にマンチェスターで彼らを観たことを話せば羨ましがられ、あるイギリス人男性には「Why Oasis?」と尋ねられた。質問の真意は「優れたバンドが様々いる中で、なぜオアシスなのか?」と。「彼らは人生のサウンドトラックだから」と答えると、彼は満足げに大きく頷いて「Exactly The Same As Me」と呟いた。
どの人の心にも、その人のオアシスがある。そして彼らは、そのひとつひとつの期待に応え続けるだろう。昨日のオアシスではなく、今日のオアシスとして。
最後にリアムは「また会おう」と言い残し、ステージを去った。その言葉で確信した。「来日公演までに喧嘩しなければいいけど……」なんて冗談でも訝る必要はない。きっと約束は守られる。私たちの最強のロックンロールバンドが、今度は日本にやってくる。
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