実のところ、彼らは最新アルバム『フロム・ゼロ』の発売を待たずして、4つの異なる大陸を巡演するアリーナツアーを実施しており、その一環として去る9月28日にはDJのジョー・ハーンにとっての母国である韓国での公演を行なっていただけに「何故そのまま日本にも立ち寄ってくれないんだ?」と感じていた読者も少なくないだろう。しかし焦る必要は皆無だった。彼らは2025年の春から複数の大型フェスへのヘッドライナー出演を含む大掛かりな北米/欧州ツアーを実施するが、その前に日本にやって来るのだ。むしろ『フロム・ゼロ』をしっかりと聴き込んだうえで、なおかつ早いタイミングで彼らの最新ライブパフォーマンスと向き合えるのは幸運といえるだろう。
『ハイブリッド・セオリー』での衝撃的な登場から、まもなく25年。同作は「21世紀にもっとも売れたデビューアルバム」となっているが、それならば『フロム・ゼロ』は「ロック史上最強のカムバック作」と記憶されることになるのではないだろうか。重要なのは、誰もが終焉を覚悟していたはずのこのバンドが見事に再生し、しかも今なお新鮮かつ刺激的な音楽で幅広い世代を魅了しているという現実だろう。実際、このアルバムは四半世紀前からリアルタイムで彼らを追い続けてきた人たちばかりではなく、当時まだ生まれていなかった世代にも受け入れられているはずだ。そしてこのバンドの復活は、2025年以降のロックの流れすらも変えていくことになるに違いない。
勿論、そうした理由付けをするまでもなく、この来日公演が必見であることは言うまでもない。確かに現在のリンキン・パークは、かつての彼らとは違う。しかし実験精神と冒険心を忘れることのないこの稀有なバンドとの再会を祝し、今は亡きチェスター・ベニントンの魂を感じ取るためにも、この機会を確実に目撃しておきたいところである。新たなゼロ地点から始まった物語は2025年2月、どのような局面を迎えているのか? 想像しただけでも興奮を抑えきれない!(増田勇一)
リンキン・パークの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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