「リアムはこの機会に巨大なロック・スターというところまで駆け上った。
よくやってると俺は思う。あいつがボーカリストで本当に良かった。
俺がボーカルじゃかなり違ってると思う」
ノエル・ギャラガーのこのインタビューは、RO96年12月号に掲載された海外記事の再録だ。取材場所はネブワースのバックステージで、2日目の開演直前に行われたものだ。ノエルは初日の興奮も冷めやらぬ中ネブワースを証言し、オアシスの巨大な成功を誇り、弟についてボヤき、『ビィ・ヒア・ナウ』についても楽しげに語っている。
25年前、私も読者として楽しく読んだインタビューだが、オアシス解散から12年が経った今、『オアシス:ネブワース1996』を観た後に再読すると、当時とはまた異なった興味深い印象が浮かび上がってくる。
それは例えばネブワースの真っ只中にいたノエルには、そのすさまじい実態の未だ片鱗しか見えていなかったという気付きであり、プライベート・ジェットもレッド・カーペットもセレブとの交流も、何もかも無邪気に笑い飛ばしながら楽しめていた、一切翳りのない束の間の全能感だ。ネブワースはオアシスの「終わりの始まり」だったと語ったノエルは、未だここにはいないのだから。
ネブワース・インタビューとしてだけではなく、オアシス絶頂期の彼らのメンタリティをリアルに伝える、貴重なテキストだと思う。(粉川しの)
オアシスの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。