【速報】小田和正、貫き続けた「誇り」のポップ。ツアー終盤、69歳初ライブを観た

【速報】小田和正、貫き続けた「誇り」のポップ。ツアー終盤、69歳初ライブを観た

オールタイムベスト『あの日 あの時』を携えて、4月30日から全48公演にわたって開催中の小田和正の全国ツアー「Kazumasa Oda Tour 2016『君住む街へ』」の終盤戦、東京・代々木第一体育館2DAYSの1日目。
9月20日に69歳の誕生日を迎えてからこの日が初のステージということで、客席から次々に飛ぶ「おめでとう!」の声を照れくさそうにかわしていた小田だったが、トータル約3時間に及ぶ長尺のアクトといい、揺るぎない強度と輝度に満ちた歌声といい、年齢の概念など綺麗さっぱり吹っ飛ばすほどのエネルギーと意志が、満場の客席を終始支配し尽くしていた名演だった。

アリーナ狭しと設置された花道の間を歩き回りながら、バンド+ストリングスの8人編成のアンサンブルすら凌駕するほどのバイタリティでもって、ソロ曲のみならずオフコース時代の楽曲も惜しげもなく披露していたこの日のアクト。
弾けるようなラブソングにも、人生の苦悩を綴った歌にも、小田和正の音楽にはメロディとサウンドの黄金律とでも言うべき絶対的な構成美が存在するし、その音風景は常に凛とした透明感を備えている。
そして、小田和正という表現者が至上の歌と楽曲を生み続けているのは何より、彼自身がポップミュージックに「誇り」を求め、その楽曲に「誇り」を刻みつけてきたからだ――ということが、70年代の楽曲からも最新曲群からも改めてリアルに伝わってきて、何度も何度も胸が震えた。

「『みなさんも一緒に歌いましょう!』なんて嫌いだったんだけど(笑)。まあ、いいか」と言いつつシンガロングを誘い、ライブ中には何回も舞台を降りて観客にマイクを向けていた小田。
「『高いキーがもしかしたら出ないかもしれないな』と思いながら歌ってみて『……あ、出た出た』って」といったMCで自身の年齢をいじってみせる一方で、「聴いてほしいと思うような曲ができたら、ぜひともまたみなさんの前に……」と次回の「再会」を約していたし、全力疾走とまではいかないまでも狭い花道を軽快に走る姿も見られた。

いよいよ前人未到の領域に差し掛かりつつある小田和正。個人的にも四半世紀以上彼の音楽を聴き続けているが、さらに目が離せないことになってきた。(高橋智樹)
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