ビョークのライブ映画『コーニュコピア』が、5月7日に世界で同時公開される。この特別上映は日本でも実施され、多くの都市ではこの日限りの上映となる予定なので、要チェックだ。
詳しい公開情報はこちら。
https://www.culture-ville.jp/bjork
予告編はこちら。
すでに映像の一部もティーザーとして公開されている。
“フォソーラ” (『コーニュコピア』ティーザー)
“losss”
ステージが完成するまでの舞台裏映像
本作には、2023年にポルトガル・リスボンのアリティス・アリーナで行われた公演の模様が収録されている。この『コーニュコピア』ツアーは、2019年にNYの新施設The Shedで幕を開けたもの。私もその時観ており、そのレポートはこちら。
https://rockinon.com/blog/nakamura/186218
その後もビョークはこのライブについて語っており、2023年には日本公演も開催された。
https://rockinon.com/blog/nakamura/205852
つまり、このプロジェクトは2019年から始まり、2025年まで続いた5年越しの大作となる。そして、ツアー開始後に発表された『フォソーラ』(2022年)の曲も、途中からセットに加えられている。
Apple Musicで映画の1時間版が配信された際に、ビョークはこのように語っている:
「コーニュコピアのコンサート映画から、1時間の抜粋をオンラインで皆さんにシェアできることに、とてもワクワクしています。フルバージョンは、このあと劇場で上映される予定です。
このプロジェクトは、何百人もの人たちの助けを得て、長い時間をかけて完成しました。関わってくれたすべての方々に、心の底から、計り知れないほどの感謝を捧げます。
現代のコンサート映画という形式は、母性的で温かな構造を持っていて、今の時代に歓迎されていると感じています。
女性アーティストが、自分の世界を汚されることなく表現できる場でもあります。
『コーニュコピア』では、音楽監督でマルチ・インストゥルメンタリストのベルグル・ソリッソン、パーカッショニストのマヌ・デラーゴ、フルート七重奏のViibra、ハープ奏者のケイティ・バックリー、そしてハムラリッド合唱団が参加してくれました。
私はこの10年、360度サウンドや映像ソフトウェアを使って、バーチャルリアリティやアニメーションの領域で創作を続けてきました。『バイオフィリア』やその後のVRアルバム『ヴァルニキュラ』がその一例です。そして今回、『ユートピア』や『フォソーラ』を、フル・サラウンドのスピーカーで包み込むような没入型体験として広げていくことに強くインスピレーションを感じました。
21世紀のVRのために作ったものを、19世紀の劇場に持ち込み、ヘッドセットから舞台へと拡張していくーーそれが私の目指したビジョンでした。
その構想は、27枚の可動カーテンによって実現されました。
それぞれのカーテンには異なる質感のプロジェクションが投影され、LEDスクリーンと融合しながら、デジタルアニメーションによる“現代のランテルナ・マジカ(魔法灯)”のようなライブを作り出しました。
また、特注の楽器も登場します。磁気ハープ、アルフォーン、円形フルート、そして音響建築家と共に設計したリバーブ・チェンバー。それらは、パフォーマンスの最も親密な形――まるで個人の礼拝堂のような空間――を高めるために作られたものです。
この物語の裏には、もうひとつの物語があります。
アバターによる副筋書き――現代のマリオネットが、心の傷を負いながら、操り人形から次第に変容し、癒されていく錬金術的な旅路が描かれています。
どうか、楽しんでいただけますように。
ぬくもりを込めて
ビョーク」
さらに、このツアーを記録したアートブック『Cornucopia: The Book』も発売された。M/M Parisがデザインを手がけ、写真家サンティアゴ・フェリペによるツアー中のビジュアルが収めれている。
もともと“没入型”として設計されたライブを、映画のスクリーンで再現するにあたって、ビョークは新たな工夫を施したという。
ツアーとはまた違う、映画としての新たな作品として、ぜひ劇場で体験してみて欲しい。映画の上映時間は120分。