スマッシング・パンプキンズが現在全米で”復活”ツアーを行っている。ご存知のように、スマパンは2000年に一度解散し2006年に”復活”しているので、解散ライブもその後の”復活”ライブも目撃している身としては、この復活が一体どんなものになるのか不安で一杯だった。けれど、今回の”復活”はこれまでのそれとは全然違っていた。
今回は何よりジェームス・イハが戻ってきて、つまりオリジナルの3/4のメンバーでの復活だったわけだ。するとイハがいるだけで、スマパンが本来あるべき場所にようやく戻って来た、と本当にしっくりくる、最初からこうやって復活するべきだったんだよと思える、あるべき形になった最高の復活だった。こうなると、本当にダーシーが戻れなかったのが残念で仕方ないわけだが。なんとか1公演でもどこか戻ってきて欲しい。
私が観たライブは、NYのマジソン・スクエア・ガーデンで行われたソールドアウトライブの翌日、8月2日に行われたニュージャージー州PNCバンクアーツセンターでのライブだ。なぜ電車で1時間もかけてニュージャージーまで観に行ったかというと、この日は復活ライブであるばかりか、結成から30年を祝う30周年記念ライブになるということだったからだ。そのライブの出演者が、コートニー・ラブ、ピーター・フック、デフトーンズのチノ、AFIのデイヴィー・ハバックなどということで、どうなるのか観てみたかったのだ。
アメリカの各メディアはいくつも映像をアップしている。
まずこちらがコートニー・ラブとの共演。3曲演奏し、ホールの”Celebrity Skin”を披露。
https://youtu.be/KA0a4rObr94
それから”Malibu"
https://youtu.be/aY2c49MQuBc
そして、スマパンの”Bullet with Butterfly Wings"。コートニーが始まる前に「質問があるんだけど。この曲は私はサビだけ歌うのよね?せっかく全部練習して来たのに」と言っていたのが面白かった。
https://youtu.be/rxDqbz7fOHY
デフトーンズのチノと共演したのは『メロンコリーそして終わりなき悲しみ』の曲で2008年から10年ぶりに演奏された”Bodies"。そして、『ギッシュ』の曲で2000年以来演奏されていなかった”Snail”。映像はこちら。
https://youtu.be/WIKm-ahGC6U
このツアーにはピーター・フックの息子さんJack Batesがダーシーの代わりにベースで参加しているのだが、この日はピーター・フックも登場!イハが、「アーバン・アウトフィッターズ(ファッションチェーン店)で、波の模様をした建築画のような絵が描かれているTシャツを買ったことがある人もいるかもしれないけど、あれは、伝説のバンドジョイ・ディヴィジョンのものなんだよ(笑)」と若者向けに紹介していたのが笑った。
ピーター・フックは、ニュー・オーダーの”Age of Consent”とジョイ・ディヴィジョンの”Transmission"を演奏。最後に、「これはビリーからのリクエスト」と言って、”Love with Tear Us Apart"をコートニーなども一緒に演奏した。「マンチェスター流のおやすみなさいの曲なんだ」と。映像はこちら。
https://youtu.be/bOpGIYSStwc
個人的にどうしてもハテナだったのは、シュガーレイのマーク・マッグラスが登場したこと。この日のライブは野外だったので、屋内の会場の時のようにスクリーンの上映がなかったのだけど、レポートによると彼が映像で曲やメンバーの紹介をしたりもするらしい。ミスマッチな感じとしては、例えばフー・ファイターズとリック・アストリーの共演なども思い出すけど、さすがデイヴ・グロール。あの共演は面白いと思えたけど、これはいまいち面白いとも思えなかった。疑問だけが残る共演、起用だ。コートニーもステージで、「私はダサいと言ったのよ」と言っていたけど、「でもキッズには受けていたから、ビリーが正しかったわ」と。
マーク・マッグラスとは、シュガー・レイの”Fly”と、ジューダス・プリーストの”Breaking the Law”を共演した。
ビリーとイハが肩を組む場面もありびっくりしたし、イハがこれまで観たこともないような長いMCをしていてそれもまた驚いた。しかも、ものすごくリラックスしていたのだ。昔は、ビリーに「何か面白いこと言え」と言われて、無理やり語っているような場面もあり、こっちがドキドキするくらいだったのに!
シカゴ公演も2日間あるのだが、シカゴにまで行くお金もないしと思ってニュージャージーに行ったのだが、あまりに良いライブだったので、シカゴでも観たい気持ちが高まっている(笑)。
この日のセットリストはこちら。