プリンスやトム・ペティの死因となった薬物の過剰摂取。アメリカでは55歳以下の死因のトップに。2年連続寿命が縮まった要因か?

プリンスやトム・ペティの死因となった薬物の過剰摂取。アメリカでは55歳以下の死因のトップに。2年連続寿命が縮まった要因か?

去年の10月に亡くなったトム・ペティも、2016年に亡くなったプリンスも、その死因は、過失による薬物の過剰摂取、だった。

その薬物の中に今アメリカで最大の問題となっている強力な鎮痛剤オピオイドのフェンタニルが含まれていた。トム・ペティは、7種類の処方箋薬を摂取していたようだが、娘のAnnaKim Violetは、父は処方箋薬の中毒となっていたわけではなくて、臀部骨折のための苦痛を和らげるために薬を摂取していたためだとInstagramでコメントしている。


プリンスの場合は、そこまで明確にはされていないが、シーラ・Eなどによると、人工股関節置換術などを受けており、常に苦痛を抱えていたということだ。

トム・ペティの家族は、今回敢えて死因を公表することで、アメリカで鎮痛剤の過剰摂取に関する問題がさらに話し合われることになれば良いと思うとFacebookにコメントしていた。

https://www.facebook.com/tompetty/photos/a.191936770904.124578.19703580904/10155246834495905/?type=3&theater
「今回公表したのは、オピオイドクライシス(鎮痛剤危機)についてのさらなる話し合いが行われるはずだと家族として思ったからです。それは健全で必要な話し合いであり、私達が公表したことで、誰かの命が救われることを願ってのものです。過剰摂取をしてしまう人達の多くは、ケガをしてそこから合法に薬物を摂取していたことが始まりだったり、または、単純にその薬物がどれだけ死の要因となるのか理解していなかったから、だと思うのです」

米疾病対策センターの国立衛生統計センターが最近発表したところによると、2016年のアメリカ人の平均寿命は78.6歳で、前年より0.1歳短くなったそう。これは、2015年に続く2年連続の短縮で、2年連続で寿命が短くなったのは、なんと1962-63年以来のことだそう。「CNN」が報じている。しかも2017年も短くなることが予想されていて、もし3年連続の短縮となると第一次世界大戦と1918年のスペイン風邪以来のことだということ。

そして、国立衛生統計センターによると、2年間のデータだけではアメリカ人の平均寿命が短くなっているとは言い切れないものの、その原因として懸念されているのが、オピオイドの過剰摂取による中毒死だというのだ。

しかも、「The New York Times」紙によると、薬物の過剰摂取による死が、心臓病を抜いて55歳以下の死因のトップになったそう。

状況は悪化の傾向にあり、もともと問題のあったオハイオ州、ニューハンプシャー州に続き、ワシントンDCや、ニューヨークでもオピオイドの過剰摂取による死が劇的に増加している。ニューヨークでは、2015年にオピオイドの過剰摂取で亡くなった人は、薬物過剰摂取の16%だったが、2016年には44%の増加。その前の年は3%の増加率だった。

1999年から2014年までの間に、医者によるオピオイドの処方はなんと4倍になったそうで、10人中8人がオピオイドを処方されたことがあるそうだ。結果、製薬会社のPurdue Pharmaは、この10年間で250億ドル分のオピオイドを販売。そして、この10年間でオイピオドで亡くなった人は、25万人。専門家の中には、これからの10年でそれが2倍になるとの見方をしている人もいる。
https://www.politico.com/magazine/story/2018/01/20/opioid-crisis-tom-petty-prince-america-216490

プリンスが亡くなった時に、オピオイドの処方について問題が提起されたが、トム・ペティの死で再びオピオイドの対策を早急に行うべきではという声が高まっている。
https://www.politico.com/magazine/story/2018/01/20/opioid-crisis-tom-petty-prince-america-216490
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