毛皮のマリーズ@渋谷C.C.Lemon ホール

毛皮のマリーズ@渋谷C.C.Lemon ホール

ツアー最終日にして、アルバム『ティン・パン・アレイ』の一夜限りの完全再現ライヴ。
一曲目からシークレットトラックまで、アルバム通りの曲順に沿って、CD音源に忠実に音を鳴らす。サポートドラム、パーカッション、キーボード(いつも通り奥野真哉氏)に加え、曲によってホーンセクションやストリングスが加わっていく。

バンドと客が主人公のいつものライヴとはまったく違う、
まるでステージ上の全員が楽曲に仕えているような、クラシックの演奏会みたいな感じだ。

“星の王子さま(バイオリンのための)”は、バイオリンと歌だけのささやかで美しい演奏が心に残った。三拍子に合わせて志磨がひとりで踊っていたが、それは客席に見せるためのダンスではなく、全身が音符になったような楽しげな動きに見えた。

“愛のテーマ”“欲望”“弦楽四重奏曲第9番ホ長調「東京」”はもちろんクライマックス。PV同様、カラフルな帽子とマントをまとった子供たちがわらわら出てきてコーラスを歌った。

「贅沢だろ?
だってここは贅沢の街、東京だもん」と志磨は言った。
そしてこのアルバムは、震災が起こる前の、「悪い予感のかけらもない」(“スローバーラード)”無邪気で美しい東京、について歌われているのだと説明があった(詳しくは次号JAPANの連載コラム『屑・フロム・ヘル』を読んでほしい)。

そして復興への願いを語るうちに、地震に勝つには地震を忘れればいい、という彼らしい極論に至った。
ちょっと暴論に、あるいは享楽的に聴こえるかもしれないが、
不安に脅え、「不謹慎」や「自粛」といった言葉が過剰に行動を縛っていくことに対して、彼らが「ロックバンドとしてやるべきこと」はそういうことなのかもしれない。と思う。
個人的な支援や行動とはまた別の話として、だ。


さあ、毛皮のマリーズは、次はどこへ向かうのか?
(井上)
ROCKIN'ON JAPAN 編集部日記の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

フォローする
音楽WEBメディア rockin’on.com
邦楽誌 ROCKIN’ON JAPAN
洋楽誌 rockin’on