音楽ってこんなにも美しいものなのか、という今更ながら新鮮な感動で涙がこぼれる。
歌のうまさ、ピアノのうまさ、アンサンブルのうまさ。ミニマルな美学に貫かれた果てしなく豊かな音が描き出す情景はあまりにも美しくて、そこに乗る歌詞は子守唄のように優しい言葉で紡がれながら常に死の影をちらつかせている。眼前で繰り広げられるパフォーマンスを見つめていたはずが、いつの間にか自分の心の奥を見透かされている。
全編ハイライトとしか言いようのないライブだったが、人生の悲喜こもごもを音で抱き留めるような初期の名曲“花束”と、走馬灯のように駆け巡る演奏が爆発的なダイナミクスを生んだ近作“Everyday”は、中でも個人的な白眉だった。
2026年にリリースされた“言伝”“Everyday”“一瞬”が、それぞれの方向からライブに奥行きを与えていて、その3曲も収録されるだろう年内リリース予定のニューアルバムはいつもながら名盤の予感しかない。(畑雄介)