対バンにはTRACK15、猫背のネイビーセゾン、Bye-Bye-Handの方程式、アルコサイト、Fish and Lips、osage、パーカーズ、Mercy Woodpecker、Sunny Girl、Blue Mash、Arakezuri、ammoなどが参加した。全10公演の本ツアーの対バン相手は柄須賀皇司(Vo・G)が直接メンバーに連絡をして決定したという。しかも、どのバンドもふたつ返事で承諾してくれたそうだ。
そんな、同ツアーのファイナルの対バンを務めたのがbokula.。ソールドアウトしたギューギュー詰めの会場の熱を一気に上げるパワフルなパフォーマンスを披露した。the paddlesのライブ時に柄須賀はMCで「bokula.のふじいしゅんすけとは、喧嘩したこともあったけど、仲直りしたあとに一緒に風呂に入ってん! しゅんすけ、あとでSNSに写真上げといて(笑)。そんなこともあったけど、今はこうやって最高の仲間と呼べるバンドになってる」と話していたが、お互い切磋琢磨しながら、喧嘩をしながら絆を深めていくというところが、私はバンドマンらしくてとてもいいと思う。
その後、暗転のステージでサウンドチェックをしている柄須賀が、「すんません。松嶋航大(B)が銀行員として働いてるんですけど、実は今日も働いてから新幹線で来たんで、リハーサルができてないんです。なので、リハーサルやってもいいですか?」と言い、数曲をワンフレーズずつ演奏する。本番前に会場の熱を上げる予定通りの演出と呼ぶには不格好がすぎる。でも、こういうファンとの距離感の近さや、かっこをつけすぎずにありのままにファンと向き合ってくれるところもファンに愛される大きな理由のひとつだろう。
the paddlesのライブは、最新EP『オールタイムラブユー E.P.』の楽曲はもちろん、代表曲の“ブルーベリーデイズ”なども披露された。今回のライブは、歴史を感じられる楽曲だけでなく、バンドとして初挑戦となった本格バラード“ワンスター”もしっかりと聴かせる場面もあり、これまで以上にドラマチックなライブを演出していたのを観て、彼らがバンドとして新たなステージに立ったことを感じることができた。
本公演では、恒例の自主企画イベント『余白を埋める -CLUB QUATTRO編-』を7月に東阪で開催すること、さらにはサポートメンバーとして活躍していた渡邊剣人が正式にドラムとしてthe paddlesに加入することが発表された。
加入発表後に演奏された新体制初となる新曲“25歳”の演奏中に柄須賀が渡邊のほうを向いて「剣人! これがお前がずっとやりたかったバンドやぞ!」と届けた言葉に私は心を打たれた。渡邊と一緒にバンドができる喜び、さらに先輩として、メンバーとして渡邊を祝福し、最高なムードで迎え入れたいという柄須賀の想いがこの一瞬に隠されていた気がする。
新生the paddlesがスタートする歴史的な瞬間を目の当たりにできた、最高の夜だった。(岩田知大)