「音楽であなたの側にいる」──シャイトープのKT Zepp Yokohamaワンマンで3ピースバンドの真髄を見た

「音楽であなたの側にいる」──シャイトープのKT Zepp Yokohamaワンマンで3ピースバンドの真髄を見た
ライブハウスは何を与える場所だろう。

音に乗せて体を揺らす快感かもしれないし、拳を突き上げたときの興奮かもしれない。シャイトープ
のライブにもそのふたつはあるけれど、僕は彼らのライブを観るたびに心が居心地よくチューニングされる感覚になる。それはシャイトープが日常の中にある喜びも悲しみも等しくありのままの姿で音にかえてくれるからだと思う。

今夜の会場であるKT Zepp Yokohamaはこれまでで最大キャパで、約1年前に渋谷La.mamaの初ワンマンライブを観たときのことを思い出して大きな成長を感じたけれど、彼らのライブの本質はずっとそのままだった。

会場が大きくなっても、何も足さない、何も引かない。歌のよさ、音のよさ、プレーのよさ、素材の一つひとつをただただ丁寧に、上質に磨き上げ続けてきて、その音楽の強度を高めてきたことが伝わってくる。演奏の輪郭がくっきりしたことで、歌が──というより言葉が浮かび上がってきて、心への浸透力をますます高めていたし、小さな灯りの中で歌われた始まりの曲“部屋”のアウトロは、今のシャイトープからするとシンプルな佇まいを持つ曲だけれど、一音一打に深さと重さが乗っていて、もはや貫禄まで生まれていた。

今回のツアータイトルは「Here, There and Everywhere」。ここにも、そこにも、いたるところにも。シャイトープの音楽はいつだって自然なかたちで僕らの側にいてくれて、それはいつまでも変わらない。しかし、その包容力はこの先もどんどん増していくのだと実感したライブだった。(畑雄介)

渋谷La.mamaでの初ワンマンライブについてはこちら↓
シャイトープ、「すべての人生に寄り添う」このバンドの、いつか伝説になるだろう初ワンマンライブを観た!
シャイトープ1stワンマンライブ「SEICHI」、 渋谷La.mama。200人強というキャパは異例の速さで成長し続けるシャイトープの勢いを考えると、小さすぎると言っていいだろう。しかし、ステージと客席の境目がないほどに近いこのライブハウスで、シャイトープの音楽だけを求めてやってきた、未配信曲…
シャイトープ、「すべての人生に寄り添う」このバンドの、いつか伝説になるだろう初ワンマンライブを観た!


『ROCKIN'ON JAPAN』12月号のご購入はこちら
*書店にてお取り寄せいただくことも可能です。
ネット書店に在庫がない場合は、お近くの書店までお問い合わせください。
ROCKIN'ON JAPAN 編集部日記の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする
フォローする