コンピューターは「ネクスト・ビッグ・ヒット」を書けるのか?

コンピューターは「ネクスト・ビッグ・ヒット」を書けるのか?

コンピューターは魂のこもった音楽を作れるのか?という面白い記事があったので。

http://www.fastcodesign.com/1673173/can-computers-write-music-that-has-a-soul

David Copeという、作曲家で研究者/大学教授の言葉によると、”アルゴリズム(算法)”という意味では、「かつてモーツァルトやバッハも採用していた。彼らはコンピューターは持っていなかったけど、以前に作曲したセクションを、サイコロを転がしてランダムに組み合わせて音楽を創り出すというシステムを持っていた。そしてアルゴリズムというのは実はとても人間的なもので、私達のDNA内のアルゴリズムが、瞬きをするとか靴紐を結ぶとかいった行為をさせている」そう。

そしてCope氏によると、「バッハの楽曲で使われている全ての音色をデータベースに取り込みシステム化して曲を作ってみたことがあるが、それはバッハの曲にはならず、自分のオリジナル曲になった(笑)」そうです。

では、曲を機械が自分で「書く」ということは現実的にありえるのか?というと、『Echo Nest』という組織が、例えばスポティファイ(日本版は公開されていませんが)などを使っていると出て来る”あなたにおすすめの音楽”を提案するデータを作っています。
でも、2005年の時点では、そうやってデジタル世代のために音楽を勧めるのが目的ではなく、”聴く”ことでまったく新しい音楽を作り出す、ことが『Echo Nest』のビジネスの中心だったそう。

この『Echo Nest』の共同設立者のTristan Jehanによれば、「すでに存在する音源を聴くだけで、リズムやハーモニー、テンポ、ビートを理解できるというシステムを作り上げ、それにより、”ネクスト・ビッグ・ヒット”を作れたら、と目論んでいた」そうだ。
実際、業界からはかなり興味を示されたという。

29歳の作曲家、Josiah Oberholtzerによると、「コンピューターを使って楽曲を作ると、”真正さ”がなくなると考えている人がいる。でもそれは、コンピューターが魔法みたいなものだと思っているから浮かぶ考えで、それは事実ではない。コンピューターはただのツールだ。コンピューターが真正さやソウル、ヒューマン・タッチを取り除いてしまうかということを声高に言う人達がいるが、すべては媒介の問題なのだ。どんな表現をしたいか、クリエイティヴな判断を下すのはアーティストの人間としての能力だから」とのこと。

そして、Tristan Jehanは、「エレクトロニック・ミュージック、ラップ、ヒップホップといった音楽は、テクノロジーがなければ生まれ得ない音楽だ。でも人間にとっては道具にすぎない。いつだって、それをプログラムする人間が必要だからだ。機械はアーティストに取って代わることはできない」と言っています。

道具は同じでも、全く違う音楽になるのだからそりゃそうだ、と納得。
だからこそ、『GarageBand』で作った音楽があっという間に世界中で支持されることにもなるわけだし。
絵を描く時も、手よりむしろ「脳」で描く、と言われるのと同じようなことかもしれない。
「この音楽を買ったあなたには何々がおすすめです」って言われても、不思議な時もあるわけだから、これを読んで妙にほっとしました。
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