元ビキニ・キルのキャスリーン・ハンナ、ポップ・ミュージックでの性差の描き方を語る
2013.09.09 21:45
元ビキニ・キルのキャスリーン・ハンナは性差別や性差における伝統的な役割分担を問うような作品を書くようにアーティストに呼びかけている。
現在ではザ・ジュリー・ルインとして活動し、9月3日に新作『Run Fast』をリリースしたキャスリーンだが、グライムスの交際相手であるジェイムス・ブルックスが率いるユニット、デフォルト・ジェンダーズがリリースし、街頭で強姦に遭うという経験を女性の視点から捉えようとしたことで話題を呼んでいる"On Fraternity"について次のように『NME』に語っている。
「男性がフェミニズムを支持する場合には、自分の立場から語るということが重要なことなのね。だから、わたしとしては男性からの言葉として、男らしさとそれがもたらす弊害について聞いてみたいと思うのね。伝統的な男性としての役割を満たそうとすると自身の感情のすべてを享受できなくなること、また伝統的な男性としての役割を満たそうとすると、家族の大黒柱になることを強いられるけれども、実はそうなりたいわけではないし、それが不得手かもしれないということ、さらに伝統的な男性としての役割を満たそうとすることによって男性同士の絆というものは性差別や人種差別、同性愛敵視を通してでしか育まれないなどと思い込まされてしまうということを、男性同士の会話や曲を通して聞いてみたいと思うわけ」
さらにキャスリーンは次のように語っている。
「男性側から性差別を問いかける歌があったりするとぞくぞくするくらいだけど、でも、それで一方的に言い負かそうとしちゃだめで、議論がどうしても必要なわけ。わたしがやってたバンド、ル・ティグルでは"Bang Bang"という曲で、アマドゥ・ディアロという青年が警察に撃ち殺されたという人種差別的な事件を扱っていて、この子は財布を片手に持っていただけの理由で41発も銃撃されることになったのね。事件当時、本当に腹立たしかったから、事件についての曲を書いて、これは書いてよかったと思う。わたしは腹を立てているニューヨークの野次馬という視点からこの作品を書いて、それは自分の立場がまさにそういうもんだからそうしたのよね」
しかし、議論の余地も残さないと意味がないとキャスリーンは次のように語っている。
「でも、わたしが絶対に経験するはずのないようなことを、わたしがあえて歌うことは逆に人種差別的かもしれないと思って、あの曲を嫌った人もいたのもわたしはよくわかるわけ。あるいはまるでわたしが『ねえねえ、見て見て! わたしって人種差別しないから!』って見せびらかしてるだけだと思って嫌った人もいるわけだからね。とにかく、そういう疑問が出て会話が始まらない限り、変化もまた始まらないものなのよ」
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