アメリカを一瞬で虜にした超クールでかわいいパンク・バンドが登場した! LA発、女子4人によるザ・リンダ・リンダズだ。なんとドラムのミラはまだ10歳。姉のルシア(14歳)、いとこのエロイーズ(13歳)と、親友のベラ(16歳)で構成された大半がティーンエイジャーですらないバンド。
彼女たちが話題をかっさらったのは、AAPI(アジア・太平洋諸島系アメリカ人)を讃えるAAPIヘリテージ月間に行った、LA公立図書館でのライブが最高にカッコ良かったからだ。
ミラが、「ロックダウン前、クラスの男の子が私に、『お父さんに中国人には近づくなと言われた』と言ったの。それで『私中国人だけど』と言ったら、その子は私から遠ざかった。その経験を元にこの曲をエロイーズと書いた」と言い、ボーカルとベースのエロイーズが「だからこの曲は、そいつと世界中のレイシストでセクシストの男子に向けて」と、“Racist, Sexist Boy”という曲を演奏した。
《レイシストでセクシストの男子!》《私たちはあなたたちが破壊するものを再構築する!》と爆音で、単にかわいいだけじゃない洗練されたメロディと歌詞を披露。それが本来静かにするべき図書館に響き渡ったのにもみんな痺れ、トム・モレロなども絶賛した。しかも、頭で考えたというより言いたいことがあり、それをやれる方法で表現したらちょうどパンクだった、とでもいうような態度も最高で、何もかもが完璧。キャスリーン・ハンナも早くからビキニ・キルのライブの前座に起用していたくらいだ。
さらに、日本人として気になるのは、バンド名から即ザ・ブルーハーツの名曲“リンダ リンダ”を思い出すこと。それで彼女たちのInstagramを見てみると“リンダ リンダ”をカバーしているではないか。米TV番組に出演した際もバンド名について訊かれ「日本の映画『リンダ リンダ リンダ』の中で、高校生の女の子たちがザ・ブルーハーツというバンドの“リンダ リンダ”という曲をカバーするの。だからバンド名はその両方から取った」としっかり語っていた。
曲が出来てから30年以上経ち、海を超えたLAの女の子たちをインスパイアして、こんな素晴らしいバンドができるなんて。そんなバンド冥利に尽きる話もないのでは。いつか来日してヒロトとマーシーと共演してもらいたい、なんて夢まで広がる。図書館ライブ後即EPITAPHと契約。レコーディングもしてるようなので今後もまだまだ追いかけたい! (中村明美)
リンダ・リンダズの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』8月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。