2012年の音楽業界が1999年以来、初の業績回復を記録
2013.02.27 21:00
2012年の音楽業界は世界規模でみると、1999年以来、初の総収入増を記録したという。
2012年はアデル、ワン・ダイレクションやPSYの"江南スタイル"らの世界的な成功のほかに、ブラジル、インド、メキシコ、スウェーデンなど各国でのストリーミング・サーヴィスで購買契約が好調な伸びをみせたことが世界的な業績の向上に繋がったのではないかと見られている。
「音楽産業は回復の途上にあります」と国際レコード産業協会連盟(IFPI)のフランシス・ムーアは説明していて、2012年には世界全体の業界の総所得が0.2パーセントの伸びを見せたと語っている。
「これは、ここ10年にわたった技術革新と業界の刷新という厳しい試みの収穫です。音楽業界はインターネットを中心とする世界への適応を果たし、消費者の必要にどう応えるか学習するに至ったのです」
また、IFPIでは、PSYの"江南スタイル"をユーチューブでの12億万回ヒットから実際のセールス的ヒットに直結したクロスオーヴァー・ヒットの典型的なケースとして指摘していて、同じようにネット発のヒット例として、ブラジルのミシェル・テロの"恋はノッサノッサ"の700万ダウンロードも挙げている。
さらに、デジタル音源の総所得は2012年に36億ポンド(約5148億円)と前年比9パーセントの伸びを見せ、全所得の34パーセントを占めている。さらにストリーミング・サーヴィスなどの有料購買契約をしているユーザーは2000万人と前年比44パーセントの伸びを見せ、スポティファイだけでも500万ユーザーを誇っているという。この数字は相当数のユーザーが違法ダウンロードから合法サーヴィスへと利用をシフトしていることを示しているとか。
しかし、違法ダウンロードはいまだに問題となっているとIFPIでは指摘していて、グーグルなどの検索サイトが合法サイトを優先して表示するように要請を続けている。ムーアは次のように語っている。
「成長はまだ微妙なものです。グーグルなどには、検索結果で合法サイトを最優先してもらわなければなりません。著作権度外視テクノロジーとは違って、著作権に基づいた音楽が今のデジタル経済の原動力となっています。音楽はSNSサイトを牽引してもいます。フェイスブックやツイッターで最も検索されている項目は音楽アーティストなのです」
しかし、IFPIの調べではいまだに32パーセントものユーザーが違法ダウンロード・サイトを毎日利用しているという。
2012年のアルバムの全世界売上トップ10は以下の通り。
1位 アデル『21』 830万枚
2位 テイラー・スウィフト『レッド』 520万枚
3位 ワン・ダイレクション『アップ・オール・ナイト』 450万枚
4位 ワン・ダイレクション『テイク・ミー・ホーム』 440万枚
5位 ラナ・デル・レイ『ボーン・トゥ・ダイ』 340万枚
6位 ピンク『トゥルース・アバウト・ラヴ』 260万枚
7位 ロッド・スチュワート『メリー・クリスマス、ベイビー』 260万枚
8位 リアーナ『アンアポロジェティック』 230万枚
9位 マムフォード&サンズ『バベル』 230万枚
10位 マルーン5『オーヴァーエクスポーズド』 220万枚
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