「(いまだに『ラヴレス』がフレッシュな理由は)僕のやったミックスの仕方だね。これは自分自身もそうなんだけれども ―― あれを聴くたびにたちまち脳があのサウンドの一部になる、そういうミックスをやった。音楽と聴き手が一体化するんだ」
集中連載「ケヴィン・シールズとマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン物語」の第2回はお待ちかね! 名盤『ラヴレス』を中心とする、彼らのクリエイティビティが最初のピークに達した熱ーい季節にスポットを当てる。
背筋に寒気と電流の走る衝撃的な音像=1stアルバム『イズント・エニシング』でシーンに地殻変動を起こした彼らは、文字通りあれよあれよと他をぶっちぎる(leave them all behind)勢いで更なる覚醒とワープを重ねた。
EP『グライダー』におけるダンス・グルーヴ〜セカンド・サマー・オブ・ラブとの邂逅、EP『トレモロ』に開花した異端な天上の調べを経て、識閾とゲシュタルトが絶え間なく揺らぐ涅槃の音を『ラヴレス』で達成。そこに至る道のりは、バンドの置かれた状況や創作環境に左右されて長くうねっていた。
にも拘らず自らのビジョンと直観を信じ一徹にそれを追ったケヴィンのラディカルな姿勢があったからこそ、ギター・ロックの可能性の極点を更新し90年代以降のシーンの多様化と実験を促す怪物アルバムは生まれた。『ラヴレス』の前にも後にも『ラヴレス』は存在しない ―― 一世一代のこの1枚が誕生した背景と時代を語ってもらった。(坂本麻里子)
マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのインタビューは、現在発売中の『ロッキング・オン』7月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。