ダフト・パンク、衝撃の解散。21世紀のポップ・ミュージックの座標を一変させた『ディスカバリー』に迫ったロッキング・オン2001年3月号インタビューを軸にイノベイターの偉業に迫る!

ダフト・パンク、衝撃の解散。21世紀のポップ・ミュージックの座標を一変させた『ディスカバリー』に迫ったロッキング・オン2001年3月号インタビューを軸にイノベイターの偉業に迫る!

「“ワン・モア・タイム”の大事なところのほとんどはあのブレイクなんだよ。サンドイッチで挟んだようなもんで、パンの部分はそれほど重要じゃないってことなんだね」


ダフト・パンクの解散は、文字通りに、一つの時代の終わりを意味していると思う。

それは、「過去のリファレンスによってポップ・ミュージックを最新にアップデートする」という、1990年代から2020年代の今に至るまでダフト・パンクのみならずDJ的な発想によって音楽シーンを駆動させてきた大きな基本公式の一つが無効になりつつある、ということなのだと思う。

70年代のナイル・ロジャースと10年代のファレル・ウィリアムスを繋いだ“ゲット・ラッキー”、80年代のジョルジオ・モロダーに10年代のエレクトロを着せた“ジョルジオ・バイ・モロダー、90年代フレンチ・ハウスに乗せてロマンソニーが70年代ニュー・ソウルを歌いこんだ“ワン・モア・タイム”、80年代ファンクのギター・リフを元ネタにギラギラの10年代エレクトロ・ファンクを先取した“ロボット・ロック”――

ポップ・ミュージックのヒストリーそのものをメタ・レベルで再構築してポップス化するというダフト・パンクのセオリーは、あらゆる時代のあらゆる楽曲がデータ化されてストリーミング・サービスによって自由にリファレンスできるようになった今の時代において、もはやかつてほどの革新性が失われてしまったのだ。ダフト・パンクが提示しなくても、SpotifyやApple Musicのアルゴリズムがそれぞれのリスナーのそれぞれのデバイスの中でそれをやってくれるからである。

このインタビューで彼らは「イノベーション」という言葉を6回も使っているが、そのイノベーションがもはや自分たちの方法論の先に見出せなくなったのだ。だが逆に言えば、ダフト・パンク的セオリーとセンスは、もはや僕らが音楽と接するときの「リスナーとしてのデフォルト」になっている。

ダフト・パンクが生んだポップ・ソングによって、僕らのリスナーとしての性能はつねに更新されてきたのだ。ダフト・パンクという概念は僕らの感覚の中にインストールされている。感謝に近いような気持ちを、僕は彼らに対して抱いている。

2001年、セカンド・アルバム『ディスカバリー』をリリースした直後に本誌が東京で行った2人のインタビューを再掲載します。

このとき2人はまだ26、7歳。フォトグラファーNAKAさんによる撮影が終わってヘルメットを脱いで、ざっくばらんに長時間のインタビューに応えてくれた。

非常に面白い内容で、ある意味、彼らがなぜダフト・パンクをスタートさせて、そしてなぜここで終わるのかが、ある意味とても良くわかるようなインタビューになっている。 (山崎洋一郎)



ダフト・パンクのインタビューは、現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載中です。最新号のご購入は、お近くの書店または以下のリンク先より。


ダフト・パンク、衝撃の解散。21世紀のポップ・ミュージックの座標を一変させた『ディスカバリー』に迫ったロッキング・オン2001年3月号インタビューを軸にイノベイターの偉業に迫る! - 『rockin'on』2021年5月号『rockin'on』2021年5月号
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