ザ・ストロークスが、強烈な政治的メッセージでコーチェラのライブを締めくくる。米国、イスラエルのイランとガザへの爆撃を非難する映像が流れた

ザ・ストロークスが、強烈な政治的メッセージでコーチェラのライブを締めくくる。米国、イスラエルのイランとガザへの爆撃を非難する映像が流れた - pic by JASON MCDONALD pic by JASON MCDONALD

2週間にわたり開催されたコーチェラ・フェスティバル。4月18日に出演したザ・ストロークスが、まさかの強烈な政治的メッセージを掲げてライブを終えたので驚いた。

ジュリアン・カサブランカスは以前から、尊敬する活動家にインタビューをするなど政治的関心を示してきた。またバンドとしてもNY市長選の候補者支持やチャリティライブに関わってきた。ただコーチェラのように世界中へ配信される大舞台で、ここまで直接的で強烈なメッセージを打ち出した記憶がない。今年でデビュー25周年を迎えるバンドのイメージからも外れており、それだけに重く響いた。極めて効果的な幕引きだったと言える。

この映像は、ジャック・ホワイトもインスタグラムで共有している。


さらに、トム・モレロも、
「ザ・ストロークスが、コーチェラで、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンになっていた。敬礼」とコメントした。


映像で示されるのは、以下のような内容だ。

1. イラン首相モハンマド・モサデグ:1953年、CIAと英国情報機関により失脚
2. コンゴ首相パトリス・ルムンバ:1961年、CIAとベルギー政府により失脚
3. ボリビア大統領ファン・トーレス:1971年、米国コンドル作戦下で失脚
4. マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの殺害:民事裁判で米政府の関与が認定
5. パナマ大統領オマール・トリホス: 1981年、航空事故(CIA関与の疑い)
6. グアテマラ大統領ハコボ・アルベンス:1954年、 CIAにより失脚
7. チリ大統領サルバドール・アジェンデ:1973年、 CIA関与のクーデーターで失脚
8. エクアドル大統領ハイメ・ロルドス:1981年、航空事故で死亡(CIA関与の疑い)
9. イランで30以上の大学が破壊
10. ガザに残された最後の大学が爆破
11. 空を飛ぶ爆撃機

そして流れたのは、2016年以来初めて演奏される“Oblivius”で、ジュリアンの高音で美しいボーカルが「お前はどちらの側に立つんだ?」と問いかけてくる衝撃的な幕引きとなった。

映像は、数十年にわたりCIAが国外で政権転覆を関与してきたと批判するモンタージュで締め括られる。最後にはイスラエルによるガザ爆撃、そしてアメリカによるイランへの爆撃の映像が重ねられた。奴隷制の時代から現在に至るまで、アメリカが積み重ねてきた歴史的暴力を批判する構成になっている。また、キング牧師暗殺関与をめぐる説にも触れている。

中でも論議を呼びそうなのは、最後にイスラエル/パレスチナ問題を扱っている点だ。前年のコーチェラではニーキャップが、イスラエルの軍事行動を批判し、大きな論争に発展していた。

そのためファンの中には、「これでザ・ストロークスは二度とコーチェラには呼ばれないかもしれない。でも誇りに思う」といった声もあった。ただVariety誌によれば、ザ・ストロークスはコーチェラと同じ運営のGoldenvoiceによる他のフェスにも出演も決定しているので、事前に了解を取った可能性が高いとされている。

この日、ジュリアンはこうも語っていた。
「今夜、ノートパソコン持ってきて、変なレゴ動画を見せようかと思ってたんだ。見たことある?めちゃくちゃいいんだ。そこらのニュースよりよっぽど“事実”が詰まってる。でもさ、YouTubeか政府か知らないけど、消されちゃったんだよ。“自由の国”ってさ? なあ? でもアルバートは検閲なんてないって思ってるらしいけどな。目ぇ覚ませよ(笑)……いや冗談だけど。オーケー、じゃあ“検閲なんてない派”の彼は置いといて……もう曲いこう。俺、完全にダラダラ喋ってるだけだから、適当に切ってくれよ」

さらに1週目には、Amazon PrimeのロゴをCrime(犯罪)に変えたTシャツを着ていた。

そこでこう発言していた。
「みんなドラフト楽しみにしてる? あ、NFLのドラフトじゃなくて。あと半年で徴兵登録が始まるらしいぜ。みんなワクワクしてる? まあ俺は、コーチェラ部隊を率いるつもりだけどな。この誇り高き軍の中で、一番セクシーな部隊になるはずだよ、間違いなく」。

これは、18歳〜25歳のアメリカの自動徴兵登録が2026年12月から始まるとする報道の文脈での発言だ。

こうした発言に見られる通り、ジュリアンは一貫して皮肉のトーンを保っていた。それだけに、今回の映像のあまりにストレートな表現は際立っていた。

これから発売される新作にもこのトーンは反映されるのか?現時点で公開されている新曲は、まだ皮肉の色合いが強い。

ザ・ストロークスのコーチェラの映像がいくつか公開されている。


これから発売される新作『リアリティ・アウェイツ』からの新曲“ゴーイング・ショッピング”


コーチェラでのセットリストはこちら。
ザ・ストロークスが、強烈な政治的メッセージでコーチェラのライブを締めくくる。米国、イスラエルのイランとガザへの爆撃を非難する映像が流れた
ザ・ストロークスが、強烈な政治的メッセージでコーチェラのライブを締めくくる。米国、イスラエルのイランとガザへの爆撃を非難する映像が流れた
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