【フジロック予習、あと1週間】1日目、28日(金)の見所を一挙公開!
2017.07.21 20:00
28日は少々スロースターターで、グリーン・ステージのラグンボーン・マンからフジロック2017をスタートさせたい。
デビュー・アルバム『ヒューマン』が本国UKで1位&驚異的ロングヒットを更新中のこの男、7月頭にグラスゴーで開催されたフェス「TRNSMT Festival」で一足早く観てきましたが、その洗練されたソウル・トラックに対し巨漢のイメージ通りのドスの利いたブルーズ・ボイス&ラッド野郎の荒ぶれ、やさぐれたエモーションのコントラストが最高。
フジ同様に早い時間帯の登場だったにも拘らず、満員のオーディエンスで大盛り上がりだったことをお伝えしておきます。
Rag'N'Bone Man - 'Human' (Live At Capital’s Summertime Ball 2017)
夏フェスはその豪華ラインナップが楽しい反面、悩ましいバッティングの数々の葛藤が付き物。この日はまずなんと言っても19時台の非情なトリプル・バッティング問題である。
同時刻のグリーン・ステージにはザ・エックス・エックスが登場。昨年末のプレミア・ライブで片鱗を窺い知れた彼らの新モードは、新作『アイ・シー・ユー』のリリース後のツアーでさらにカラフル&ウォーミーなその全貌が明らかになっている。
初期の密室型の緊張感から一転、現在の彼らのサウンドが空間の開閉に影響されない拓かれたポップの鳴りを獲得しているのはご存知のとおり。今年のコーチェラやグラストンベリーの最新パフォーマンスでも証明済、2017年のザ・エックス・エックスは広大なグリーン・ステージこそが相応しいのだ。
The xx - On Hold (Glastonbury 2017)
そんなザ・エックス・エックスのプレイ中、ホワイト・ステージに登場するのがキャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメンだ。最新作『ザ・ライド』によってアンセミックなUKギターを牽引する若手筆頭格となった彼ら。
本国では数万人規模の単独&フェスのヘッドライナーも既にやっているキャットフィッシュの、押して引かずにさらに押す、みたいなオーディエンスを強引に引っ掴み高みに共に登り詰めていくタイトでエモーショナルなロック、その2010年代のUKギターの「王道」の在り方を今こそ目撃してほしいところ。
Catfish and the Bottlemen - 7 (Live at T in the Park 2016)
そしてザ・エックス・エックスとキャットフィッシュのほぼ真裏、フィールド・オブ・ヘブンに登場するのがファーザー・ジョン・ミスティだ。
従来のフォーク渡り鳥的なイメージに加え、最新作『ピュア・コメディ』に至ってよりナラティブなオーケストラル・ポップのスケールと深淵を得た彼のステージは、下記のグラストのライブ映像でも明らかなように、ホーンセクションを配したパワフルなものになっている。観なかったことを後々悔やむアクトの宝庫(?)であるFOH 、間違いなく今年は彼がそうなりそう…。
Father John Misty - Total Entertainment Forever
そんな19時台のトリプル・バッティングの次は、21時台、この日のヘッドライナー&トリをめぐり究極の選択を迫られる2組のバッティングが待っている。
ホワイト・ステージには8月に4年ぶりの新作『ヴィランズ』をリリースするクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジが登場。
QOTSA名義での来日は実に2002年の前回フジ以来15年ぶり、その間には3度の来日キャンセルがあり、「本当に日本上陸するまでは油断ならない」と警戒されているレアポケモン状態の彼らだが、6月から約2年ぶりのツアーが確かにスタートしているので、何事もなく苗場のステージに立ってくれることを祈るばかり。
アークティック・モンキーズがQOTSAと、ジョシュ・オムと出会ったことで激変したように、彼らのグルーヴ・ロックは2000年代以降のロックの動力のスタンダードとなり、ライブこそが彼らの真骨頂の場だ。
Queens of the Stone Age - The Way You Used to Do (Audio)
そう、普通ならば迷いなくQOTSAに行くところなのだが、この日はそうはいかない。なにしろグリーン・ステージのヘッドライナーはゴリラズ、彼らもまた17年ぶり(!)の来日なのだ。
6年ぶりの新作『ヒューマンズ』は世界の諸問題に対する当事者意識の固まりのようなヒップホップとハウスを大フィーチャーした切迫感とメッセージ性に満ちた攻撃型の一作、しかし最後には融和と団結を高らかに宣言するポジティブなフィナーレを迎えるアルバムとなった。
そんな新作を経た彼らのモードで特筆すべきはとにかくダイレクトだということで、直近のライブでも二次元バンドの建前をぶち破り、デーモン・アルバーンが素面で鼓舞し突き上げ歌うアンセミックなステージを披露している。
また、豪華ゲストが参加した『ヒューマンズ』だけに、ライブでもデ・ラ・ソウルからケレラ&ダニー・ブラウン、そしてノエル・ギャラガー&サヴェージズのベスまでゲストが多数オン・ステージしており、今回のフジに「果たして誰を連れてくるのか」問題もある。どう考えても見逃せないのだ。
GORILLAZ - "Humanz" live in Cologne (2017)
GORILLAZ - "We Got The Power'" Live at Printworks London
(粉川しの)
2日目の見所はこちら。
3日目の見所はこちら。