いよいよ10月14日にリリースされる、ゲスの極み乙女。の2015年第3弾シングル『オトナチック/無垢な季節』。ゲスの極み乙女。およびindigo la End両バンドでの川谷絵音の止まらない名曲連射ぶりについては、以前にもここRO69のコラムで触れたが(http://ro69.jp/news/detail/131182)、ここで改めて注目したいのは2015年のゲスの極み乙女。の3作品だ。
・4月22日リリースのシングル『私以外私じゃないの』……表題曲“私以外私じゃないの”がコカ・コーラ「ネームボトルキャンペーン」CMソングに起用される。また、カップリング曲“ルミリー”もハウステンボス「あじさい祭」CMソングとして全国でOAされている。
ゲスの極み乙女。 - 私以外私じゃないの
・6月17日リリースのシングル『ロマンスがありあまる』……“ロマンスがありあまる”は映画『ストレイヤーズ・クロニクル』主題歌及びトヨタ「スペイド」「ポルテ」CMソングとして使用され、カップリング曲“サイデンティティ”は同じく『ストレイヤーズ・クロニクル』の挿入歌に。
ゲスの極み乙女。 - ロマンスがありあまる
・10月14日リリースの両A面シングル『オトナチック/無垢な季節』……“オトナチック”が「NTTドコモ dヒッツ powered by レコチョク」CMソングとして10月下旬からOA決定(iTunesなど主要サイトで現在配信中)。
ゲスの極み乙女。 - オトナチック
いずれも大型タイアップとともに発表されているシングル3作だが、これらの作品でゲス乙女が聴かせているサウンドは、当初からバンド自身「ヒップホッププログレバンド」と称していた音楽の方向性をさらに加速度的に押し進めるものだし、「大衆的」なポップミュージックの表現とは真逆と言っていい方向に突き進んでいることがわかる。
もちろん「タイアップ曲=敷居が低くてわかりやすい曲」という絶対的なルールが存在するわけではないが、自分たちの表現のハードルを一切下げることなく、むしろがんがん上げまくっている4人の音楽が、少なくとも「全国津々浦々のお茶の間にまで浸透し得るポピュラリティを備えている」と評価されていることは間違いない。楽曲と演奏そのものの輝度と彩度もさることながら、ゲス乙女の場合は特に、そのアヴァンギャルドなプログレッシヴポップの世界をより先鋭的に研ぎ澄ませること自体が、他のどのバンドとも異なる表現の魅力たり得ている、ということだろう。もっと単純に「音楽はこんなに面白い!と伝えてくれる存在」と言い換えてもいい。
どんなに高度な打ち込みを駆使したところで、卓越した4人のプレイヤビリティが寄せては返し、一丸となって押し寄せてくるゲス乙女のスリルとミステリーは再現不可能だ。来年3月には自身初の日本武道館公演「ゲス乙女大集会 ~武道館編~」2DAYS開催も決定。世のリスナーの「最大公約数」ではなく「先端」であり続けることでシーンを魅了し翻弄する4人の現在の状況は、それ自体がひとつの奇跡と言っていいと思う。(高橋智樹)