the telephones @ 日比谷野外大音楽堂

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「日比谷! もう夜が近いね。今日はツアー・ファイナルだよ! ライブハウス・日比谷%※$#……。もう一度言わしてくれ!(笑)。ライブハウス日比谷・大・野外音楽堂へようこそ!」と気合いのあまり、やや噛みつつも叫び上げるノブこと岡本伸明(Syn・Cowbell・Shriek)に、ただでさえ熱気あふれる日比谷野音がさらなる歓喜で沸き返る! さらに続けて「君たちは今、自由を手にした! この先さらなる自由を求めようぜ。そして、その先に行こうよ! その先にはね、DISCOの向こう側にもない先がある! 準備できてる?」と煽るノブに応えて、即完&満場の野音が熱い歓声に包まれていく――アルバム『Laugh, Cry, Sing... And Dance!!!』を引っ提げて計18公演を回るthe telephonesのワンマン・ツアー『One Man Disco Tour ~Keep Your Live~』もこの日がファイナル。the telephones初の日比谷野音ワンマン・ライブ=『One Man Disco Tour 〜Keep Your Live〜 Final!!! 「野音 DE DISCO!!!」』は、「ここを、世界でいちばんハッピーな場所にしようぜ! カモン日比谷!」とシャウトしていた石毛輝(Vo・G・Syn)の言葉通り、the telephonesが「DISCO」という言葉に託して思い描いてきた音楽とコミュニケーションの理想形がそのまま形になったような、最高のアクトだった。

the telephones @ 日比谷野外大音楽堂
いきなり“Four Guys From Saitama City”で野音一面熱狂空間に叩き込み、長島涼平(B・Cho)のディスコ・ファンクなベースのうねりから多幸感の彼方へと駆け上がっていくような“90's Drama Life”、松本誠治(Dr)のビートが叩き出す衝動逆噴射ポスト・パンク的な疾走感で高らかなクラップを巻き起こした“Pa Pa Pa La Pa”……と最新アルバム『Laugh, Cry, Sing... And Dance!!!』の楽曲を畳み掛け、陽の傾き始めた野音をあっさりと一大ダンス・フロアに変えてみせる4人。「たまにはこういう開放的な、しかも東京のど真ん中っていうこの感じも、よくないっすか? 今日は、野音ならではの楽しみ方をしていこうぜ!」と石毛が呼びかけるのを待つまでもなく、ライブハウスでの密室的な狂騒感とはまったく別種の、爽快でピースフルなヴァイブが会場には広がっている。

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客席にでっかいハンドウェーブが揺れた“A.B.C.DISCO”。同期のリズムパターン&シンセベースと絡み合うように涼平のベースがメロディを奏で、石毛がハンドマイクでステージ狭しと練り歩きながら歌い上げた“Romantic Disco”。「もっと気持ちよくなってもらうために、野音セットリストを考えてきました! 『インフィニティ・ディスコ・タイム』……ダサっ!(笑)。これから俺たちは、みんなをすげえ踊らせるぜ!」(石毛)と言いつつ、“It's Alright To Dance(Yes!!! Happy Monday!!!)”からミラーボールきらめく至上のDISCOタイムへと雪崩れ込んだ中盤の流れがすさまじい“SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!”の鮮烈な性急さにあふれたシンセ・フレーズでエモーショナルな絶頂へと昇り詰めていく瞬間のスリル――ロック/パンク/エレクトロ/ディスコといったサウンドのディテールはもはや石毛/ノブ/涼平/誠治の叩き出すアンサンブルの強靭な肉体に取り込まれ、4人の鳴らす音の1つ1つが、満場の野音を包み込む圧倒的なエネルギーの原動力になっている。

「ひとつここは、ライブハウスっぽくやろうかみんな! だってライブハウス出身だしね。北浦和から出てきたバンドのパワーを見せてやるぜ!」という石毛の言葉から“I Hate DISCOOOOOOO!!!”へ突入! “urban disco”では客席を駆け抜けるノブがさらに客席の温度を上げ、“A A U U O O O”ではノブのくねくねダンスに合わせて野音一丸の「A」「U」「O」ダンスの輪が生まれていく。「こんな日だからこそ愛とディスコを叫ぼうぜ!」と“Love&DISCO”が鳴り響く頃には、都心の大舞台は一点の曇りもない祝祭空間へと塗り替わっている。「みんなで魔法の言葉、『DISCO』を叫ぼうぜ!!!」の石毛のコールから、3000人近いオーディエンス一丸となっての「We are?」「DISCO!!!」のコール&レスポンスが生まれた後、「お互い、死ぬまでDISCOしようぜ!!!」と“Keep Your DISCO!!!”を響かせ、さらに“Congratulations!!!”ででっかいシンガロングを巻き起こして本編終了。「なかなか今日ほど、生きててよかったと思う日はないと思います! また今度、ライブハウスで会おう!」という石毛の言葉に、客席から惜しみない拍手喝采が沸き上がった。

the telephones @ 日比谷野外大音楽堂
鳴り止まない手拍子に応えて再びアンコールで登場した4人は、ライブのオープニング曲としてお馴染みの“happiness,happiness,happiness”をアコースティック・ヴァージョン(石毛:アコギ、ノブ:ハモンドオルガン、涼平:アップライトベース、誠治:ドラム+ウィンドチャイム)で披露。そして、この日のライブの模様が9月21日にMTVで放送決定――という告知に続いて、ニュー・シングル『Don’t Stop The Move, Keep On Dancing!!!』の発売とそのリリース・ツアー『踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らな損々DISCO!!!』の開催がアナウンスされると、都心の夜空は割れんばかりの大歓声で包まれていく。

「こうやってみんなでDISCO!!!って叫んで楽しくなることの幸せは、当たり前じゃないと思います。俺は奇跡だと思ってます。本当にありがとう!」と、アンコールのMCで石毛がひときわ力強く語っていたのが印象的だった。DISCOという言葉に自らのロック魂(とロックそのものへのカウンター精神)をこめて撃ち放ってきたthe telephonesが、そのDISCOというキーワードに自らの/聴く者すべての愛と夢と希望まで全部乗っけて、音楽という名の揺るぎないユートピアを描き出していこうとしている――ということが4人の音からは伝わってきたし、だからこそ自分たちの音楽は最高にハイパーでパワフルでピースフルであるべきだ、という彼らの意志が、何よりこの日のステージをハッピーなものにしていた。

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「みんな、年を取っても、一緒にDISCOを叫び続けようぜ! これから何回、朝が来ても、俺たちと一緒に、踊り続けようぜ!!!」という石毛の言葉に導かれてのラスト・ナンバーは“Odoru〜朝が来ても〜”。高揚感の高純度結晶のような音像の中、石毛は「みんなと同じ時代を生きてて本当によかった! 本当に、本当に、ありがとう!!!」と叫んでいた。それはこっちのセリフだよ!とこの場にいた誰もが思ったに違いない。the telephonesだからこそ実現できた「野音 DE DISCO!!!」。この上なく幸せな余韻が、頭と身体に熱く広がっていった。(高橋智樹)


[SET LIST]
01.Four Guys From Saitama City
02.90's Drama Life
03.Pa Pa Pa La Pa
04.What's Your Name???
05.Burn With Anger
06.D.E.N.W.A
07.A.B.C.DISCO
08.Romantic Disco
09.My Final Fantasy
10.Ring a Bell
11.It's Alright To Dance(Yes!!! Happy Monday!!!)
12.It's OK
13.electric girl
14.SAITAMA DANCE MIRROR BALLERS!!!
15.I Hate DISCOOOOOOO!!!
16.Urban Disco
17.A A U U O O O
18.Monkey Discooooooo
19.Love&DISCO
20.Keep Your DISCO!!!
21.Congratulations!!!
encore
22.happiness,happiness,happiness
23.Odoru~朝が来ても~
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