locofrank @ SHIBUYA-AX

locofrank @ SHIBUYA-AX
おおよそ予想していたことではあったけれど、今夜のSHIBUYA-AXに渦巻いた熱狂はマジすごかった! locofrankが企画した東名阪ツアー『“FOUR SEASONS TOUR 2009”-early summer-』。大阪BIG CAT公演にはマキシマム ザ ホルモンとBEAT CRUSADERSを、名古屋BOTTOM LINE公演にはthe band apartとBRAHMANを迎え、どちらも半端じゃない盛り上がりとなったそうだが、ファイナルとなる東京にはdustboxにGOOD 4 NOTHINGという、ロコと並んで今のメロディック・シーンを牽引する人気アクトが結集。当然のことながら、AXには早くからキッズが大挙して詰め掛けた。

先鋒は、ロコと同郷にして先輩バンド、意外にもこれが初AXというグッフォーことGOOD 4 NOTHINGだ。「俺らが大好きなちっちゃなライブ・ハウスと同じように盛り上げるから、思いっきりロックしようぜ!!」とTANNYの呼びかけに焚きつけられて、AXはアッちゅう間に沸点へ! フロント3人が全員ワイヤレスを使っているので、コードの絡む心配なしにステージをところ狭しと駆け回る(U-tanに至っては、ドラム・セットの後ろまで回ってステージをぐるぐる旋回!)。「俺ら3バンドな、うっとおしいくらい仲エエねん。でも、ひと度ここに立ったら“勝負”やねん。全部さらけ出していくから、みんな最後まで見届けてや!!」とU-tan。その言葉どおり持ちうる全てをさらけ出して(U-tanは最後には半ケツまで開陳!)、破格の熱量と運動量でAXをまるごとヒート・アップさせたグッフォーだった。

続いては――RO69でもレポートさせてもらいましたが――先頃ここAXで自身のツアー・ファイナルを大成功におさめたばかりのdustbox。ライブは“Jupiter”から一気呵成に幕を開けた。「シブヤを爆破しにきました。全力でかかって来いよ!!」と挑発的なSUGAのMCにも煽られて、AXのフロアは終始ダイバーで溢れ返ることに。「次の曲は、ハゲがよけいハゲちゃう曲やります!」(JOJI)と曲紹介こそむちゃくちゃだったけれど(それは“try my luck”という曲で、決してハゲがよけいハゲることを歌ったものではありません・笑)、そのバンド・サウンドはすこぶる端正か疾走感バツグン。シーン随一といえる流麗なフォームには、改めて感嘆の息を漏らさずにはいられなかった。

時刻は20時50分。三番手にしていよいよ主催者・locofrankの登場だ。前二者の白熱のステージが、3人の闘魂にメラメラと火を灯らせたのだろう。「いこうぜシブヤ!!」と木下が咆哮し、ギター森が激しくヘッド・バンギング。笹原がドカドカッとスティックを振り回して、“across time”→“tabacco smoke”→“mountain range”と前戯もなしにいきなりトップ・ギアにブッ込んでみせる。行く手を阻む眼前の障害物を片っ端からなぎ倒していくような、怒涛の進軍だ。1stブロックを終えて「もう疲れてもうた??」と木下が問いかければ、フロアからは「まだ〜〜〜っ!!!」とドデカい反論が湧き上がり、バンドとオーディエンスがそれぞれの本気をぶつけ合うようにして、両者はどこまでも一体感を高めてヒート・アップしていくのだった。立ち昇る熱気がアツい!

ひと息ついて、「同じパンクという枠にいながら、いい意味で違う道を突き進んでいる3バンドが集まったらこんなことになんねやって……ホンマに感謝してます、ありがとう!」とひとしきり感謝を届ける笹原。木下も「俺たちまだ27(才)やけど、いつまでバンドがやれるかわからん。だから、一戦一戦を最後やと思ってやってます」と思いの丈をMC。いつだって一本気で熱血漢な3人だけれど、この夜はグッフォーの底なしの享楽性、ダストのカラフルなポップネスを受けて、より鮮明にロコの“実直さ”みたいなものが浮き彫りになっていたと思う。オーディエンス目掛けて体当たりを繰り返すような勇ましくも熱烈なパフォーマンスからは、魂と魂のぶつかりあう音が聞こえてくるようだった。

終盤も「シブヤ、全力でかかって来いよ!!」と全精力を振り絞るようにラスト・スパート。「信念を持つすべての人のために――アー・ユー・レディ? アー・ユー・レディ??  アー・ユー・レディ??!!」と木下が幾度もフロアを煽って本編ラストの“START”へ。会場の至るところで次々に弾薬がはじけとぶような、壮絶なクライマックスが立ち上がった。きっとそこに居合わせた誰もが、気持ちが深いところから奮い立たされることを感じずにはいられなかったはずだ(少なくとも僕はめちゃめちゃパワーもらいました!)。バンドの核にあるものを伝え切った、圧巻のライブだった。(奥村明裕)
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