Saucy Dog/マイナビBLITZ赤坂

Saucy Dog/マイナビBLITZ赤坂 - All photo by 白石達也All photo by 白石達也

●セットリスト
1.真昼の月
2.ジオラマ
3.ナイトクロージング
4.あとの話
5.曇りのち
6.マザーロード
7.コンタクトケース
8.へっぽこまん(Acoustic Set)
9.世界の果て(Acoustic Set)
10.煙
11.メトロノウム
12.新曲
13.バンドワゴンに乗って
14.グッバイ

(アンコール)
EN1.いつか



Saucy Dog/マイナビBLITZ赤坂
Saucy Dog/マイナビBLITZ赤坂

大阪発の3ピースバンドSaucy Dogの「ワンダフルツアー2018」の最終公演が、12月14日に東京・マイナビBLITZ赤坂にて行われた。10月から行われてきた今回のツアーはバンドにとって初となる全国ロングツアーであり、「対バン編」15本、「ワンマン編」10本の計25ヶ所全公演がソールドアウトとなった。

Saucy Dog/マイナビBLITZ赤坂
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満員のオーディエンスで埋め尽くされた会場に、せと ゆいか(Dr・Cho)、秋澤 和貴(B)、石原慎也(Vo・G)の3人が順に登場し、深々とお辞儀をした。そして3人がドラムの前に集合し拳を突き合わせると、母への愛を綴った“真昼の月”をプレイしライブがスタート。“ジオラマ”や石原の「どんどんいくぞ!」の掛け声をきっかけに“ナイトクロージング”をプレイする3人はとても楽しそうに見えたが、その後のMCでせとは「みんなの気持ちはよく分かっています。3人めっちゃ緊張しとるやんけ!って思っとるやろ?」とカミングアウトした。その上で、恵比寿LIQUIDROOMから始まったツアーを振り返りながら「ツアーを回っても、緊張しないような強いバンドにはなれませんでしたが、この緊張も全部含めて楽しんで帰ろうと思えるバンドに成長して帰ってきました」と、バンドが抱く実感を伝えた。その自然体で前向きな姿勢はオレンジの照明に彩られながら奏でた切ないラブソング“あとの話”や、珠玉のラブバラード“コンタクトケース”にも優しく滲んでいた。

Saucy Dog/マイナビBLITZ赤坂

Saucy Dogのライブでは、秋澤のベースソロから始まったミディアムチューン“曇りのち”での石原がいたずらっぽく演奏を焦らすシーンからも分かるように、3人がふとアイコンタクトを取ったり互いが気持ちを寄せ合おうとしたりしている光景が多々見受けられる。それは緊張を解きたいという意志ではなく、「3人でライブを楽しみたいね」という素直な気持ちから生まれる共鳴の姿なのだろう。石原がオーディエンスから受けた「今年の一番の想い出は?」という質問に対して「リハーサル中に秋澤とケンカした時!」と答えていたように、意見のぶつかり合いは幾度もあると話す彼ら。けれどそれは、後には不必要だったと思えるような衝突ではなく、「どうすれば自分たちの音楽を、自分たちらしく届けられるか」を大前提としたバンドが前進していく為に必要な衝突なのだろう。アコースティック編成で演奏された、せとがボーカルを務める“へっぽこまん”と「自分たちの音楽で世界を平和にしたい」という石原の想いが宿った“世界の果て”での表現力、「俺たちバンドマンの歌を!」とプレイされた“メトロノウム”での情熱的なアクトから、今回のツアーで育ったバンド内の意志共有の精度と繋がりの強さが伝わってきた。

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その想いを総括するように石原は「このツアーを通してたくさんの人に支えられていると実感しました」と語り始め、「こうやって応援してくれるみんなに俺らがもし恩返しできるとすれば、それは音楽であるべきだと思っています。めいっぱい俺らも楽しんで、みんなにも楽しんでもらうことが恩返しだと思っています」と真っ直ぐに想いの丈を伝えた。そして「それだとちょっと物足りないので、新曲を持ってきました」と新曲を披露! バンドからのそんな嬉しいサプライズにオーディエンスのテンションも一層高まった中で“バンドワゴンに乗って”、そしてラストには万感の胸中から込み上げる「ありがとう」を何度も繰り返しながら“グッバイ”を全力で届けて本編の幕を閉じた3人。「またいつか、あなたに会えますように」と深々とお辞儀をしてステージを去った。

Saucy Dog/マイナビBLITZ赤坂
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熱望されたアンコールでは、3人がお揃いのTシャツを身にまとって登場。大きな拍手の中で石原は「ちょっと想い出話を……」と告げてツアーを振り返った。「もっともっと成長したいと正直思っているんです。本当に感謝してもしきれないというのが本心です」と真面目に語ろうとするも、「だめだ、真面目に締めようとしすぎた……だから頑張って、良い曲作るぞー!」と最後は笑って振り切った石原の、そんな不器用さや愛嬌含めてSaucy Dogらしいなと微笑ましくなった。そして彼らはバンドの代表曲かつ「きっかけの曲」である“いつか”を最後にたっぷりと鳴らし、自身初のロングツアーを自分達らしく締め括ったのだった。(峯岸利恵)

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