オープニングはいきなりの“Dig Down”だったが、この曲はエレクトロとグラム・ギターをコンバインした構築的シングルで、『ザ・セカンド・ロウ~熱力学第二法則』における“Madness”の役割にも似た異色のティザー的チューン。それもあってかライブのイントロのように機能していて、続く大鉈の振り子のようなリフとコーラスが轟く“Psycho”によって、ライブの本編が一気にヒートアップする。そこから流れるように“Map of the Problematique”へ、そしてマシューがギター・ノブをぐりぐり回して焦らしつつ雪崩打った“Plug In Baby”で場内は一気にバースト!ギター・ソロとギター・リフの相乗効果で倍々ゲームにヒートアップしていく、これぞミューズのライブの真骨頂だ。
彼らは今回のツアーでセットリストを毎日少しずつ入れ替えているが、基本的にミューズのオール・キャリアの変遷をすべて見せる内容になっている。欧州的なエレガンス漂うグラム調のナンバーや、ヘヴィ・メタル、ラウド・ロックで肉体性で圧倒するナンバー、さらには実験的なエレクトロ・チューンから、教会音楽やクラシックのシンフォニーをプログレ的に展開していく、ミューズならではの過剰なドラマツルギーの再現まで、実に様々だ。ちなみに今回の彼らのプレイは、過剰は過剰なりにきっちりまとまり、大きな逸脱のないプレイだったと言える。
「次は古い曲、ほんとに古い曲をやるよ。日本でやるのは本当に久しぶりなんだ」とマシューが言って、この日はなんと“Showbiz”をプレイしてくれた! 懐かしい! 日本でこの曲をプレイしたのは2001年の単独来日以来ではないか。冒頭でも書いたとおり、エアポケットの公演だからこそひとつの方向性にしばられず、彼ら自身もバラエティを楽しんでいる。ザ・クランプスの“New Kind of Kick”のカバーは、ここ最近のライブのレギュラー・ナンバーとなっている一曲。彼らは今年のハロウィン(10月31日)にはコスプレも完璧な同ナンバーのカバー・ビデオを公開していたが、こういうお楽しみも今回のツアーの特徴だ。“Madness”からの数曲はクリスとドムのインスト・バトルと化した“Munich Jam”を筆頭にエクスペリメンタルな曲が続いたが、そこにド派手な着物というか羽織姿のマシューが登場し、その殆どコントのような彼の出で立ちに場内は大きなどよめき(というか笑い)に包まれる。マシューはそのままアリーナに降り立って練り歩きを敢行、“Starlight”1曲が丸々ファンとの触れ合いコーナーとなり、お約束の巨大風船まで頭上を行き交い始めて場内はほとんどカーニバルの一場面のような状態に。“Mercy”では紙吹雪がアリーナの四方八方で吹き上がり、スモークもばんばん炊かれ、さらにダメ押しで紙テープが一斉噴射! ミューズのミューズらしさ、ここに極まれり! という瞬間だ。今回のツアーは、ショー・タイムがトータル90分強と彼らとしては短いパフォーマンスであり、映像や照明の演出を含めて彼らとしてはシンプルな部類のステージだ。そのぶん非常に濃厚でエッセンシャルな、ミューズのミューズらしさが抽出されていたライブだったと思う。(粉川しの)
〈SETLIST〉Dig Down
Psycho
Map of the Problematique
Plug In Baby
The 2nd Law: Isolated System
Showbiz
The Handler
Supermassive Black Hole
New Kind of Kick
Madness
Dead Inside
Munich Jam
Starlight
Time Is Running Out
Mercy
The Globalist
Uprising
Knights of Cydonia
なお、本日11月14日にも横浜アリーナで開催されるミューズの来日公演では当日券が販売される予定だ。詳細は以下。
●2017年11月14日(火)@横浜アリーナ ※当日券あり
OPEN 18:00 / START 19:00
当日券は18:00~会場当日券売り場にて販売予定チケット
SSスタンディング¥15,500(税込)
Sスタンディング¥12,500(税込)
S指定席¥12,500(税込)
A指定席¥10,500(税込)
INFO:クリエイティブマン TEL:03-3499-6669
主催:J-WAVE / InterFM897 協力:ワーナーミュージック・ジャパン
企画・制作・招聘:クリエイティブマン