2005年に結成、活動9年目にして進化の留まるところを知らない9nineによる、ワンマン公演。『9nine Wonder Live in サンプラザ』は、先に開催が決定していた夜公演(18時スタート:レポート本文はこちらの内容)のソールドアウトを受け、日中に追加公演(14時スタート)も組まれて1日2公演が行われた。暗転した場内、ステージ上のスクリーンには宇宙空間のオープニング映像が映し出され、客席に煌めく色とりどりのペンライトも瞬く星々のようだ。そこに響き渡る《バス・ストップ》の鮮烈なフックは“少女トラベラー”。紗幕スクリーン(シースルースクリーン)の向こう側で、吉井香奈恵(かんちゃん)→西脇彩華(ちゃあぽん)→佐武宇綺(うっきー)→村田寛奈(ひろろ)→川島海荷(うみにー)と、5人のメンバーが、デジタルな幾何学模様のCGアニメーションとシンクロするように次々にダンス&ポージングを決めてゆく。興奮必至の幕開けである。
モノトーン・ストライプの衣装に身を包んだ5人は、“SHINING☆STAR”からアルバム曲“#girls”とダンス性を加速させつつ、くるくると立ち位置をスイッチして歌い踊る。その合間にも、とりわけ最年少・ひろろ(17歳)の煽り立てるヴォルテージが強烈だ。順繰りにステージ下にまで向かってオーディエンスを沸かせ、自己紹介ナンバーとしても知られる“9nine o’clock”では、ちゃあぽんが「わたしたちのあだ名を呼んでくれますか〜!?」とオーディエンスに声を掛け、盛大なニックネームのコールを交えたパフォーマンスを繰り広げる。フィニッシュでは身体で「9」の文字を象るポーズを決めて、喝采を浴びるのだった。映像・歌・ダンス・オーディエンスの間の手と、ありとあらゆる手段を落とし込んで人々を巻き込む序盤戦である。ところが、その直後にはスタンド・マイクを用い、“ダーリン、ダーリン”や“koizora”といった豊かな情感がハーモニー・ワークに映える美曲も披露。どちらも現行メンバー5人が揃ってからの初のアルバム『9nine』に収録された楽曲だが、ステージ進行のテンポ感を損なうことなく、9nineの音楽性の広がりを伝える一幕であった。
「サンプラザの皆さんこんばんはー! 9nineでーす!」とあらためてポーズを決め、自己紹介コールへ。ちゃあぽんは昨年3月以来のサンプラザ公演で、そのときも来てくれた人、今回初めて9nineを観に来た人、と挙手を募ると、「いきなりびっくりしたやろー。“SHINING☆STAR”、“#girls”とアガる曲を用意してきました。どうですか、ひろたん」と告げ、それに対してひろろは「ひろたん言わないでー、恥ずかしい!」と慌てながらも、「こんだけしかなかったっけ、って。去年は、中野サンプラザってこんなに広いんだ、って思ったけど」と、成長を証明するかのような頼もしい言葉を伝える。そしてオーディエンスに振り付けをレクチャーしてからの愛らしいビットチューン風ナンバー“(Luv=)0or H8?”、更にはレイヴ感たっぷりなめくるめくダンスで繰り広げる“ポジティ部”と、エネルギッシュなパフォーマンスを続けてゆくのだった。

“Just A 恋”では、イントロ部分でひろろ、かんちゃん、うっきーがステージに残っているうちに、うみにーとちゃあぽんがシルバーの衣装へと早変わり。残っていた3人も瞬時にそれに続く。進行の流れを殺さずに、ヴィジュアル面での楽しみと音楽的な楽しみを両立させる工夫はここにも活かされていた。ステージは夥しい量のツタで覆われ、スクロールするジャングルの映像を背負いながら、ロック色の強い楽曲×ワイルドに突き進むイメージの振り付けで披露されるのは“Evolution No.9”である。そして再びシースルースクリーンの演出を用い、歌心を視覚的にも伝えてくるのは“モノクロ”。一口に「歌い踊る」とは言ってみるものの、9nineはその「歌う」「踊る」というパフォーマンスを、極めて高いレヴェルで両立させているグループだ。もちろん、メンバー5人の才能に依るところもあるだろうが、個々の才能だけではどうにもならないはずの歌声のハーモニー・ワークや、ダンス・コンビネーションが至る所で際立つ。3月にリリースされオリコン週間4位というグループ史上最高の成績を残した最新シングル“With You / With Me”のパフォーマンスは、広島で行われた『Perfume FES!! 2014』でも目の当たりにしていたものの、今回あらためて、この曲は9nineの歌とダンスを、共に高いレヴェルで引き出している楽曲なのだと感じられた。
“With You / With Me”のカップリング曲でもある“Party9”からは、スポーティーで身軽な衣装にまたもや高速スイッチ。ブラックライトに感応するデザインで、その演出がダンスに盛り込まれているのも面白い。“119”→“Re:”と後半戦に入っても力強いダンス・チューンを連発し、何度でも立ち上がって何度でも進化する、そんな9nineの精神性を全身で描き出していった。「ふー、あっつーい!」と、MCタイムに至ろうというところで、ようやく思い思いにタオルやドリンクを手に取る5人である。「みんな座って座って」「なんか先生みたい」といった調子で、一気にリラックスしてほぼ雑談みたいなノリで語り始める女子5人は、本当につい先ほどまであの驚異的なパフォーマンスを繰り広げていた5人なのだろうかと思ってしまう。今回初めて、個々のイヤモニを制作してステージに臨んでいるという話題では、うっきーが「耳かきするときに、痛くなるポイントがあるじゃないですか。そのギリギリまで(型取りの素材を)入れるんだって」と語ったり、ちゃあぽんが映画『THIS IS IT』でのマイケル・ジャクソンの「耳の中に拳をぐりぐり突っ込まれているみたいなんだ」という言葉を引き合いに出して「それが出来る!」とか何とか変な盛り上がり方をしている。
9nineのコスプレをした来場者にもひとしきり語りかけると、ここで6/18にニュー・アルバム『MAGI9 PLAYLAND』をリリースすることを発表。かんちゃんは「ダンス仕様の曲を練り込んでいきたい」と意気込みを語り、オーディエンスと相談しながら「9nineのアルバム6/18」というツイートのトレンド入りも画策する。そして「じゃあ、みんな背伸びして背伸びー!」と、たっぷり休憩した後に“Brave”からの本編終盤へと向かってゆくのだった。なるほど、遊園地をデフォルメしたような今回のステージ・セットは、新作アルバム・タイトルの布石だったようにも見える。花柄のジャケットを羽織り、ハットを小道具に使うダンスは“Love me?”。そして壮観なタオル回しで沸騰する光景の“困惑コンフューズ”、ひときわ大きな間の手を巻く“colorful”で、本編は幕を閉じた。
アンコールの一曲目“流星のくちづけ”はなんと、グッズTシャツ姿の9nineの面々が唐突に客席通路に姿を現す、というサプライズでスタート。筆者は2階席の最後列で観ていたので、1階席の様子は死角になってしまい伺えなかったのだが、2階席にはうっきー、うみにー、ひろろが登場して大盛り上がりであった。これは嬉しい。で、楽曲終盤までにメンバーは猛ダッシュでステージに戻り、そのまま華やかな“Cross Over”へと繋いでしまう。1日2回公演の、アンコールで、これをやってしまうのである。そう思うと胸熱だが、うみにーは、「リハーサルのとき、うっきーが全然戻ってこなかったんだけど、本番で超本気出して来た(笑)」と暴露ネタも投下する。そして「一年経って、皆さんと近くなれた気がする」「今日の一体感は凄かった」「皆さんの顔を見る余裕が出来た自分が嬉しかった」と口々に思いを伝えるのだった。
8/21に控えた、初の武道館ワンマンに寄せる意気込みを語るのはちゃあぽん。「こんなに一人一人違う個性を持ったお客さんがおって、めっちゃ前の方なのに腕組みして、嬉しそうに9年前から観てくれてる人とか、2階席でも一所懸命にペンライト振ってくれてる人とか。いろんな人がいて、どんな生活してるのか分からんけど。でも、私たちの曲でみんながこんなに笑顔になれるんだなって。これを持って、武道館に行きたいと思いますが、どうでしょうか!」と、大喝采も当然の名MCだ。そして、次のステージへと物語を繋げる“つづくつづく…”で、万感のクライマックスを迎える。アルバムに武道館にと大きなトピックが用意されてはいるが、今後の9nineが見せる進化は、そんなトピックを凌ぐほどの驚きをもたらしてくれそうだ。(小池宏和)
セットリスト
01 少女トラベラー
02 SHINING☆STAR
03 #girls
04 9nine o'clock
05 ダーリン、ダーリン
06 koizora
07 (Luv=)0or H8?
08 ポジティ部
09 Just A 恋
10 Evolution No.9
11 モノクロ
12 With You / With Me
13 Party9
14 119
15 Re:
16 Brave
17 Love me?
18 困惑コンフューズ
19 colorful
encore
01 流星のくちづけ
02 Cross Over
03 つづくつづく…