現在発売中のロッキング・オン11月号では、ブライアン・イーノの論考記事を掲載しています。以下、本記事の冒頭部分より。
文=小野島大イーノの過去作2枚が再発されることになった。J・ペーター・シュヴァルムとの共作『ドローン・フロム・ライフ』(01年)と、イーノの単独作『アナザー・デイ・オン・アース』(05年)である。新たなリマスター等はないが、イーノ自身による新エッセイが初回のみつく。
シュヴァルムはドイツの作曲家で、90年代半ばに頭角をあらわし、98年のAL『マクロデリア』が坂本龍一やイーノに絶賛されて一躍知られるようになった。そして2人は同年ボンで行われたイーノのインスタレーションで共演した。イーノが惹かれたのは、シュヴァルムの音楽にある速度感、曖昧さ、メランコリーが共存する感情の幅だったという。複数の感情を同時に扱える音楽家として注目していたようだ。01年のインタビューでイーノは、弱さも傷つきやすさも、迷いも、踊る楽しさと同じように音楽の中に受け入れたいと話している。シンセによる空間的響きに、ゆったりしたリズム、弦楽器、加工した声を組み合わせた作品で、アンビエントと分類できそうな音だが、『ミュージック・フォー・エアポーツ』(78年)ほどクールでも平坦でもなく抽象度も高くない。一定のグルーヴもフックもあるが一般的なポップソングほど歌やサビが前に出るわけでもない。その中間にある極めて微妙な色合いをもった音像が、穏やかな中に一定の緊張感を持って鳴っている。ローリー・アンダーソンのポエトリーリーディングが繊細な音響デザインの中にゆっくりと浮遊し、イーノの娘たちの声がサンプリングされ、アブストラクトな音響空間に幸せな家庭の日常が滲み出ていく。その温かさと柔らかさは、それまでのイーノのアンビエント作品とはひと味違っている。(以下、本誌記事へ続く)
ブライアン・イーノの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
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