フォロワー数を着々と伸ばし続けているTikTokクリエイター・
澤村光彩(きらり)。アイドル活動で育んだ確かなパフォーマンス力、ダンススキルが注目を集め、ロボットダンスを披露した動画などが何度もバズっている。2024年6月からは、アーティスト活動もスタートさせた。ボカロミュージックを彷彿とさせるトリッキーなサウンドを鮮やかに歌いこなし、ダンスパフォーマンスを冴えわたらせる曲によって、ファン層はますます拡大中。リリースを重ねる毎に作風も広がっている。そしてスマホの画面内だけでなく、ライブでも輝けるのが彼女だ。9月23日に神田明神ホールで行われた「2nd Anniversary Live ~ 星宵乱舞 ~ 」も、集まったファンを激しく魅了していた。このライブの模様をレポートする。
開演を告げるSEが流れた瞬間、フロアから沸き起こったものすごい手拍子。掲げられた星形ペンライトが赤い光を煌々と放ち、幻想的な風景が作り上げられた。バンドメンバーが演奏を始めると、ステージの下手袖から登場した澤村光彩。“致死量ダーリン”が、オープニングを飾った。ビートを完璧に乗りこなして放つ歌声が、初っ端から切れ味抜群。興奮を抑えられなくなった観客は、《まだまだまだまだ》《痛いよ痛いよ》《嫌嫌嫌嫌》《ドロドロドロドロ》《返信無いのよ》など、合いの手の声を無我夢中で上げている。未練、禁断症状、執着、怨嗟⋯⋯儚く消えた恋から生まれる感情を狂おしく浮き彫りにする歌声を人々の熱気がドラマチックに彩っていた。続いて、観客をさらに巻き込んでいった“ブルーライトヴィーナス”。歌いながら動かすしなやかな身体が美しい。TikTokなどで発揮している高いダンス力が早くも垣間見えた。
ボカロ曲のような怒涛の展開を遂げる“憑いていく”が、とてもかっこよかった。キュートな響きを帯びつつも、「ドスが利いている」と言ってもいいくらいの激情も滲ませるのが、彼女の歌声の独特さだ。音源や動画で発揮されている魅力は、ライブでも活き活きと輝いていた。そして迎えた最初の小休止。「今日のライブが成功するように実は神頼みしに行ったんです。それでおみくじ引いたのね。大吉です! 本当に申し訳ないんですけど、『恋愛運最強』と書いてありました。『次の日、結婚した』とかになったら本当にすみません(笑)。大吉だったので、最後まで楽しんでいける予感しかしてません!」と語りながら浮かべる笑顔がまぶしい。おみくじの結果を無邪気に喜び、ライブを成功に導くエネルギーへと素直に繋げている姿に和まされた。
ライブでの初披露となった新曲“蝉時雨、白昼夢。”は、彼女が作詞。蝉の声、踏切の音が歌と重なり、やるせない夏の物語を浮き彫りにしていた。そして“女疾女石”からは、ふたりのダンサーがステージに登場。澤村を加えた3人編成のパフォーマンスが、曲を華やかに彩った。身体の各部を独立して動かすアイソレーションでしっかりと支えられたダンスがリズムをシャープに刻み、歌のグルーヴィさを加速している。彼女のダンスのスキルは、歌を輝かせることにも繋がっているのがわかった。サウンドの前のめりな疾走が3人のダンスの熱をグングン高めていた“詰んドラ”。上半身を反り返らせたイナバウアーのような優雅な動きが喝采を浴びた“Simulated”⋯⋯聴覚と視覚の両方を楽しませてくれる曲の連発後、彼女はステージから姿を消したが、バンドの演奏がスタート。メンバー同士の音の交わし合いが、どんどん熱を帯びていく。“瘡蓋”をインスト曲にアレンジしているのに気づいた観客は、推しを支えている楽器プレイヤーたちを歓声で讃えた。

大正時代の女学生を思わせるはかま姿でステージに戻ってきた澤村が披露した新曲“八百屋お七”。振袖を揺らしながら踊り、和的情緒を帯びたメロディを艶やかに歌い上げていた。そして再び迎えた小休止。「新曲いかがでしたか? 和楽器バンドの亜沙さんに曲を書いていただきました。衣装も早着替えしました。練習で1回もうまくいかなかったんだけど(笑)。本番に強い。2分で着替えちゃいました」と語った彼女は、森夏彦(B)、岡本啓佑(Dr)、大樋祐大(Key)、宇井拓海(G)を観客に紹介。その場で決められたニックネームで呼ばれた彼らは、照れくさそうだが嬉しそう。そんな和やかなひと時を経て、ライブは後半に突入。歌声をじっくり届ける曲が続いた。「心の中で聴いてくれたら嬉しいです」と言って歌い始めたのは、彼女が作詞をした“ほしに誓う”。観客の一人ひとりに歌を通して感謝を伝えているのを感じた。全身を使って踊りながら歌う姿が、演劇のような物語性を醸し出していた“デジタルマーメイド”。ピアノと歌による密やかな幕開けを経て、雄大に高鳴っていった“カナリア”。「嬉しかったとき、悲しかったとき、私を支えてくれたのはいつだって音楽でした。みなさんが道に迷ったとき、その道を照らす一等星になれますように歌います」という言葉を添えた“一等星”⋯⋯天高く飛び立つかのように力強さを増していく歌声が、これからの日々を切り拓いていく意志を示しているように感じられた。

「嬉しいなと思ったことがあって。昨日、リハーサルをしてたんですよ。23時まであって、TikTokを上げられなかったのね。ストーリーで『上げられません。すみません』っていうのを出したんですけど、電波が悪くて上がってなくて。家帰ってスマホ見たら『きらりちゃん、寝たな』とか書いてあって(笑)。毎日の私の投稿だったり、『新曲聴いたよ』とか、日常に私が入っているのが嬉しいなって思いました」と語ったあと、「やばい! ラストみたいなMCしちゃったよ(笑)」と、急に高まった声のトーン。しんみりするよりも、明るく賑やかでいたい性分なのだろう。「今日は楽しみにしてましたかー! まだまだ盛り上がっていけますかー!」と観客に呼び掛けて場の空気を切り替えると、“スキャットキャットノイローゼ”を歌い始めた。コールを加えながら観客が掲げたタオルは、サビに差し掛かると激しく回転。フロアの一体感がものすごい。その勢いのまま突入した“つんつん8割きみ2割”も爆発的なコールが起こり、曲のスピード感とスリルを加速。そして本編を締めくくったのは“限界ロストワールド”。骨太なバンドサウンドに埋没することなく、全身にエネルギーを溢れ返らせながら歌う澤村が、とても凛々しかった。
「きらり!きらり! きらり!」という観客の声に応えてステージに戻ってきた澤村とバンドメンバー。ダンサーのふたりも加わったアンコールの1曲目“愛憎クリスマス”は、暴れ馬のようなメロディ、ヤンチャさ全開の歌声、ワイルドなダンスが炸裂。観客も飛び跳ねながら踊り、歌いまくっていた。本能に身を任せた人々の熱気がとんでもない。妖しい舞踏会に迷い込んだかのような感覚となった。そんな爆発的な盛り上がりの直後に「そろそろ終わりなんですよ」と言われたので、フロアから上がった寂し気な声。しかし、「いいお知らせを持ってきました!」という言葉が続き、今後の予定が告げられた。「11月7日 FC会員限定 生誕イベント開催決定」「2027年1月末 ミニアルバムリリース決定。楽曲提供──亜沙(和楽器バンド)・熊谷和海(BURNOUT SYNDROMES)・TAKE(FLOW)ほか」「2027年東名阪ツアー決定」──発表の度に観客は大喜び。明るく沸き立つフロアを眺めながらとても嬉しそうだった彼女は、2周年ライブのステージに立ちながら抱いた想いを語った。
「私、続けることが大の苦手で。別に努力をしてないわけじゃなくて。今までもアイドル活動とか、いろいろやってきたんですけど、『自分ってこんなもんなんだな』とか、周りと比べちゃって、1年続くか続かないかだったんです。今までと違ってみんなと距離が近いからなのか、不安になったり、『やめたいな』『向いてないんじゃないか?』と思うことが少なくなって。2周年を迎えられたことがほんとに嬉しいです。これから先、3年、4年、変わらずみなさんが集まってくれたらいいなと思いました」⋯⋯SNSやインターネットを活用した表現に居場所を見つけた彼女が、今後の活動への意欲を燃え盛らせているのがわかるMCだった。
「声出していくぞー! 盛り上がっていくぞー!」と観客を煽り、ラストを飾ったのは“トランジスタ・駄・デカダンス”。強烈なビート、ビンタを喰らわせてくるかのような歌声に刺激されて、観客は《嗚呼!嫌!嫌!》という掛け声を上げつつ全力でダンス。完全燃焼を目指す気迫で満たされた会場内は、パワースポットとして全国的に知られている神田明神にパワーをさらに上乗せしていたと思う。ジャンプした澤村の着地と共にエンディングを迎えた瞬間、ステージを包んだ大歓声。バンドメンバー、ダンサーと並んでお辞儀をしたあと、「かわいいよー!」「ありがとう!」という声をたっぷり浴びた彼女は、笑顔を輝かせて手を振り、ステージを後にした。(田中大)
澤村光彩【KIRARI】2nd Anniversary Live ~ 星宵乱舞 ~
2026.09.23 神田明神ホール
●セットリスト01. 致死量ダーリン
02. ブルーライトヴィーナス
03. 憑いていく
04. 蝉時雨、白昼夢。
05. 女疾女石
06. 詰んドラ
07. Simulated
08. 八百屋お七
09. ほしに誓う
10. デジタルマーメイド
11. カナリア
12. 一等星
13. スキャットキャットノイローゼ
14. つんつん8割きみ2割
15. 限界ロストワールド
Encore
16. 愛憎クリスマス
17. トランジスタ・駄・デカダンス
澤村光彩 オフィシャルサイト
提供:澤村光彩
企画・制作:ROCKIN'ON JAPAN編集部
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