──私は“Pie”のレコーディングに少しだけお邪魔させてもらっていて、そのときにびっくりしたのは、Dagabaziさんが細かくボーカルディレクションをやっているんだっていうことだったんですね。Haruhi だいぶ助かってますね。Dagabazi ファーストシングルから、ずっとですね。宅録でやってきたことを踏襲して、スタジオに入っても俺がやろうかなっていう。それがやりやすいというか、ミックスとかも俺がああだこうだ言うので、それだったら録りの段階からディレクションしたほうがいいんだろうなっていう。プロのみなさんに任せてもいいんでしょうけど、自分の曲だから自分が納得いくようにしたいし、音作りもこだわっていますね。──4人が出会った専門学校で、Dagabaziさんはエンジニアコースとかなんでしたっけ?Dagabazi いや、シンガーソングライター専攻だったんですけど、卒業してから一時期、レコーディングスタジオに勤めていて。事務だったんですけど、ちょっとしたノウハウはそこで学びました。Haruhi たまに「違う言語で話しているんじゃないか?」っていうくらいの言葉でエンジニアさんと話していて。僕は「ここはもうちょっとグッてくる感じで」とか感情的にしか言えなくて、それを技術的に通訳してくれるので頼りになります。Dagabazi レコーディングスタジオで勉強したって言ってますけど⋯⋯事務の仕事が暇だったんですよ。でも人に聞く勇気もないし、時間をかけていろんなサイトを見て勉強してました。最初の1、2ヶ月は『トムとジェリー』とか、音をミュートした状態で楽しめる動画を観てて(笑)。でも一応仕事っぽいことしておこうかなと思って、新入社員だし、わからない機材とかを調べておこうっていうノリでいろいろ見ていたら楽しくなっちゃって。もともと中学生の頃からギター小僧で改造とかもしていたし、それの延長もあったかもしれないですね。──そうやって音へのこだわりがあるゆえに、“Spotlight”、”Pie“、”ARCH“をEPに収録するにあたって、シングルバージョンからわざわざミックスをやり直したんですね。ドラムの音の鳴りが変わっていたり、”ARCH“はボーカルの出方が調整されていますよね。Dagabazi “Stupid”、“Face”はドラムが打ち込みで。先にシングルで出た曲は生ドラムだったんですけど、打ち込みのカチッとした感じと揃えようかなという意図もあって、ミックスし直しました。“ARCH”のボーカルは、シングルは柔らかい感じですけど、EPバージョンは打ち込み側に合わせたというか、歌モノだけどキックやスネアが聴こえるようなミックスにしてもらいました。シングルは録ったそのままを出した感じだったけど、EPは製品としてカッチリしたものに仕上げたというイメージでした。──しかもEPバージョンの“ARCH”は、20秒ほどのイントロが加わっていますよね。Dagabazi あれ、本当はシングルでもつける予定だったんです。あのキーボードは俺が弾いているんですけど、恥ずかしくなっちゃって⋯⋯。──恥ずかしくなっちゃって!?Dagabazi 「なんだこれ」みたいな(笑)。しかもこんなに長いイントロをシングルでやったら、飛ばされちゃうんじゃないかなと思って。レコーディングエンジニアの齋田(崇)さんが、「EPバージョンで復活させたら?」って提案してくれて「いいですね」ってなりました。プロのみなさんに任せてもいいんでしょうけど、自分の曲だから自分が納得いくようにしたいし、音作りもこだわっていますね(Dagabazi)
──さっきタツキさんが言ってくれたように、あえて歌詞を見ずにアレンジを作っていくというのも、CheCheらしさになっているのだろうなと思いました。“Stupid”とかも、爽やかなサウンドに《I am stupid(俺はバカだ)》というテーマを乗せていることで、「僕」がどういう感情なのか、いろんな解釈ができると思うんです。Dagabazi これはもともとソロミュージシャンとしてやるならこれをやろうかなとか思っていた曲で、バンドが本格的になってから葬り去っていたんですよ。ボイスメモを漁っていたら出てきて、Haruhiに聴かせたら「いいじゃん」ってなって。Haruhi Dagabaziの押し入れには、そういうのがいっぱいあるんですよ。──“Spotlight”もDagabaziさんが高校時代に作っていた破片を掘り起こして完成させたって言ってましたよね。宝物の原石がいっぱいあるんですね。Dagabazi だから携帯を落としちゃったら終わりです。ヤマダ CheCheの活動休止期間が発生するかもしれない(笑)。──今すぐバックアップを取ってください(笑)。資料には「シティポップ」って書いてあるけど、Dagabaziさんの中でシティポップをリファレンスにして完成させたのか、それとも、意外とそうではないんじゃないかなとも思ったりして。Dagabazi 確かにシティポップっていうよりは、ドージャ・キャットの“Say So”を聴いていて、そういうイメージでやりましたね。途中にちょっとラップっぽいパートがあるんですけど、メロディアスなパートがあったあとに細かいラップがあるという構造は、ドージャ・キャットを参考にしました。ヤマダ ラストサビでハモリが変わるところがいいよね。それまでのサビはハモリをちょっと抑えているんですよ。そのあとにDagabaziが歌うパートが出てきて「こいつ歌うんかい」ってなって、そこからのラストサビでここまでなかったハモリで頭角を現すっていう。それがストーリーとしてめっちゃいいんだよ。Dagabazi 俺が追っかけているんですけど、最後に重ねてそれまでと違うハモリをして終わるっていう、そこが山場ですね。──失恋ソングとしてラッピングされているけど、《I am stupid》、《君は知らない 俺がどれだけ不安か/ああ 立ち回りばかり気にしてる/みんなが話してる声が聞こえる/置いてかれて スピードについていけない》とか、これもまた20代のリアルな生活感や心情が描かれた曲だなと思いました。世代問わず共感できるものだなとも思います。Dagabazi これは、レコーディングスタジオで働いていた時期に──怒られたこともあったし、週5で通っているけど大して給料もよくないし、っていう1年で、「何をやってんだろう」とか思いながら家に帰ってDTMをやるという日々だったんですけど。その途中で生まれた曲でした。ギターリフから作った曲で、そのあとにドラムを入れて、メロディをどうしようかなと思ったときに《I am stupid》って出てきて。なんで「stupid」って出たんだろうってあとあと思い返してみたら、社会人になったけど毎日同じ日々で、アリンコみたいに働いて、「これ、人間である必要があるのかな?」とかいろいろ思って。それを俯瞰して、「自分ってバカなんだな」って勝手に出た言葉なんだろうなと思いました。そこから失恋ソングを歌おうかなと思って膨らましていった曲ですね。会社員のみなさんにも聴いてもらいたいです。Haruhi 時間を売ってしまっている、時計だけが回ってしまっている、という人にね。なんで《I am stupid》って出たんだろうって思い返すと、社会人になったけど毎日同じ日々で、「これ、人間である必要があるのかな?」とか思って。それを俯瞰して出た言葉だった(Dagabazi)
──7月18日には、東京・Spotify O-Crestにて、初のワンマンライブが開催されます。CheCheにとって大事な1日になりそうですね。Dagabazi 大事ですねえ。ヤマダ 個人的には、素直に楽しみだなって思える日で。今までは対バンが多かったんですけど、今回は完全に自分たちしかいないので自分たちが提示するものがすべてで、すごくワクワクします。それがよくても悪くても「これがCheCheです」って一旦提示されるタイミングなので、今まで頑張ってきたことをちゃんと出せたらなと思います。Dagabazi そういう意味では怖いなとも思うけど、気にしすぎてもよくないし、あくまで楽しみながらやりたいですね。──お世辞抜きでCheCheは現段階で、ライブに関して何も心配いらないというか、クオリティは間違いないものが作れていると思うから、あとはそれを人に見せるだけだという感じがしますけどね。ヤマダ 各々も、バンド全体でも、やりたいことがめっちゃあるんですよ。それをうまく表現できてない部分もあるから、俺らの中では「まだまだやれる」みたいな気持ちがあって。Dagabazi 30分のライブとかでは表しきれないドープなところも出していきたいですね。Haruhi やりたいことを成仏させたいよね。たとえばファンク的なノリでお客さんを乗らせたい、とか。でもそれを強要するのは違うと思っていて。音で踊らせたい。変なダンスでもいいから、俺らの音を聴いて「よくわかんないけど踊ってる」みたいな状態を作りたいなって思います。ヤマダ それが「ODD DANCE!!」というイベントタイトルにも出ていると思うんだよね。岸本 佐藤泰希くんっていう、ゴスペルがルーツにあるドラマーが(サポートで)入ってくれて、それに合わせてサウンドもいい方向に向かっているので、絶対に後悔させないと思います。──それはまたグルーヴが変わりそうですね。ファンク的な踊りが生まれるフロアとか、ヴルフペック的な熱狂をライブで作りたいっていうことですよね。Haruhi おっしゃる通りです。最近、リハーサルが楽しいんですよね。岸本 でもお客さんがいないと始まらないのでとにかく来てほしいです。Haruhi ソールドさせたいですね。ひとりで来てもいいし、友達とかと来てもいいし、踊りに来てほしいです。