──その孤独な叫びが、音楽活動を本格始動した“meaning”の《Nobody knows/I only know(誰も知らない/僕だけが知ってる)》に詰まってるなと。この曲はどう書いていきました?最初はトラックですね。俺は、音の人なんですよ。さっき言った、感情が動く感じを表現できるのも全部音なんです。だから、この曲を書く時は、音を聴いて自分が昇華されたかどうかを判断してました。逆に歌詞はどんなことを書けばいいんだろうって。でも、音の感覚と歌詞の感覚をリンクさせたいと思ってて。“meaning”は、音を聴いた時に感じるジレンマというか葛藤みたいなものが、当時学んでた社会学とリンクすると思って書き始めました。たとえば、社会において「アジア人だから」「黒人だから」ということに意味が入っちゃうじゃないですか。1個のかたちがあるだけなのに、そこに意味や偏見が入ったりしちゃうことがすごく嫌だった。授業でその残酷さを学んで、あっ、って思ってた時に曲を作ってたので、そことリンクさせて。俺は、音の人なんですよ。感情が動く感じを表現できるのも全部音なんです。だから、“meaning”を書く時は、音を聴いて自分が昇華されたかどうかを判断してた
──ソングライターには自身の痛みを書いていく人もいれば、社会的なメッセージも含めて歌にしていく人もいると思うんですが、“meaning”は個人的な痛みから始まり、最後は普遍的な《But why?(でもなぜ?)》という出口に繋がる、という両方の要素があるなと。出口か──でも、どの曲も自分視点になっちゃうんですよ。そんなに俯瞰して自分を見たことはあんまりなくて、自分の中だけで見てるから、正解が見えないままなんですよね。だから、出口も曖昧に終着しちゃうというか。──でも、たとえば“HOPE”の最後には《But I trust in this path, ‘cause it’s mine(でも自分らしく自分の道を信じる)》で曲を閉じてますよね。曲によるかもしれないです。“HOPE”は暗いまま終わらせちゃうとたぶん、自分の気持ちが昇華されない気がしたので希望が見えるようにして。逆にめっちゃ暗いことばっかを自分勝手に書いて昇華できる時もあります。“honest?”とか、“Kodoku”はそれですね。
──そういったパーソナルな痛みを曲に綴っていく中で、4月リリースの“Boy”には、「アーティストとしてのRol3ert」という視点が加わってると思ったんですが、そう言われるとどうですか?この曲こそ等身大で、ただ自分勝手に書いていて、あまり視点は変えてないですね。“Boy”というタイトルが元々あって、自分を深掘っていった時に、だんだん言いたいことが整理されていって。その時体験したことを書かなきゃというよりは、じっくり時間をかけて書いていったので、自然と自分の視点になっていきました。──変だと言われたRol3ert少年から、スポットライトを浴びてステージに立つアーティスト・Rol3ertへの変化を感じたんですけど、そうではない?昔からの変化というより、等身大の今・Rol3ertな気がします。あ、でも、音楽を始めてからだんだん昔のナード・Rol3ertが今ではいいものだって気づいたという感覚はあって──音楽活動をしてきて、いろんな勉強をしてちょっと賢くなって、でも自分が未熟だったことに気づいちゃうという流れの曲で。未熟なもの=ナード・Rol3ertみたいになっちゃってたんですよね。だから変化というよりは、ナード・Rol3ertと今・Rol3ertを繋げた感じです。
──そして、最新曲“Kodoku”には今日話してもらったことがすべて通じているような気がします。初めて「孤独」という日本語がタイトルになっていますけど、Rol3ertさんにとって孤独とはどういう状態ですか?俺、孤独な状態、好きですけどね。いちばん安心する状態かもしれないです。逆にめっちゃ幸せな時ってちょっと怖くなっちゃうんですよね、それがいつか終わるから。だからそれ以下にならない状態にいちばん安心するんです。孤独を感じてる時は、それ以上虚しくならないから。だからこそ、こういう曲を書いて孤独を感じてたいという気持ちがあるんだと思います。──その感覚を音として届けるにあたって、これまで以上にダーティなギターサウンドを選んでますよね。オルタナロックを聴いた時に、あ、これ自分やりたいわと思ったんですよね。マイケルで好きな曲も“Beat It”なんですけど、ロックなものに惹かれるんですよ、何においても。そのエッセンスを自分の中にも取り入れたいなと思って、最初はイントロのギターリフから入って、衝動的にバッて全部作っちゃいました。いつもなら「サビをどんな感じにするか」とか「どういう展開にするか」みたいに考えるんですけど。この曲、サビとイントロで展開が違うじゃないですか。その違いもナチュラルにパッと出てきた感じです。みんなそれぞれに自分の物語はあるけど、コアな部分で繋がってるものは一緒みたいな。そういう優しい空間を作りたいです。自分のためにも、他の人のためにも
──歌詞には《i don’t know if im worth it(僕にはその価値があるのかな)》みたいな、自分の価値を問うフレーズがよく出てきます。そうですね。この曲は、たとえば「この会場でワンマンをする」みたいな目標を達成したとして、達成感はほんとにあるのかなっていう、その時にならないとわからない、overthinkしすぎて陥った孤独なんです。──そうやって孤独を歌にしていく中で、今“honest?”を中心にグローバルにRol3ertさんの歌詞に対する共感が生まれ始めてて。自身のことを書いていった結果、いろんな人と繋がれているという状況についてはどう思いますか?ずっと、パーソナルな曲の作り方をしてるので、「こういうトピックで曲を作ったらいろんな人が共感できてバズりそう」というより、自分のことをバッて書いたうえで、それとナチュラルに繋がれる人を探してる感じで。で、そういう人が増えていったら、小学校の自分の気持ちを安らげてあげられるみたいな気がしてるんですよね。技術的にいろんな人に届けたいという状態じゃなかったからこそ、そうやって広まってるのが嬉しいし、ナチュラルに届いてるという証拠になってる気がして、すごく嬉しい状況です。──他者からどう思われるかという前提においての曲づくりじゃないからこそ、深いところで繋がれるんでしょうね。この先で目指すアーティスト像は?もちろん売れることが、ナード・Rol3ertが満足することだし、他の人に感謝を伝えられる方法だと思うんで、売れることに執着心はあるんですけど、お客さんをただ増やすというよりは、1曲1曲自分の中でちゃんと昇華して、それとナチュラルにレゾナンスする人が規模的に大きくなっていって──というのがいちばんのビジョンとしてあるんですよね。そうしていくと、ライブ会場がすごく優しい場所になると思うんですよ。みんなそれぞれに自分の物語はあるけど、コアな部分で繋がってるものは一緒みたいな。そういう優しい空間を作りたいです。自分のためにも、他の人のためにも。その空間をつくり上げることが、いちばんなりたいRol3ertかもしれないです。ヘア=KANADA
スタイリング=柴田 圭
衣装協力=サンタモニカ 原宿店(Instagram:@santamonica_mens)Rol3ertのインタビューは、発売中の『ROCKIN'ON JAPAN』7月号にも掲載!