そんな大充実の2025年を締めくくるように、12月17日にアルバム『見上げるたびに、恋をする。』をリリース。1stアルバムであり、これまでの歩みを追うベストアルバムとも言える内容からは、改めて彼女たちの表現の振り幅を存分に感じる。今回はそのアルバムについて、城月菜央、橋本桃呼、東山恵里沙の3人に話を聞いた。このアルバムには高嶺のなでしこの成長の軌跡、そしてファンとの絆がしっかりと刻み込まれている。
インタビュー=杉浦美恵
──9月に幕張イベントホールで行ったワンマンライブ「A Wonderful Encounter」は、高嶺のなでしこの魅力を多角的に魅せた、3周年のアニバーサリーにふさわしいライブでした。客席との一体感もほんとに素晴らしくて。アルバムを出すことはアイドルとして憧れでもあった。このアルバムではいろんな高嶺のなでしこを見せることができると思っていて、1曲1曲に歴史が詰まっている(橋本)
橋本 広い会場でドキドキしたけれど、客席を見渡した瞬間に、高嶺のなでしこが好きで集まってくださった方がこんなにいるんだと感動して、涙が出そうでした。とにかくありがとうという感謝の気持ちしかなかったですね。
東山 印象に残っているのは、“革命の女王”で花道を歩きながら歌ったこと。いろんなアイドルの方の映像を観ていて、花道を歩きながら歌うっていうのにすごく憧れていたんです。みんなで2列になって歌いながら歩いたんですけど、いちばん後ろでリーダーの(籾山)ひめりちゃんが大きな旗を肩に担いで歩いているのを見て、感動して泣きそうでした。ほんとに素敵なメンバーに囲まれているんだなあって。
城月 幕張のライブは、これまでの高嶺のなでしこの中ではいちばん大きいステージで、リハのときから全力を出し切ろうと一生懸命頑張ってきました。来てくださったみなさんが声を出しやすいようにとか、ペンライトを振りやすいようにとか、メンバーそれぞれにコールというか、煽りを考えてきて。会場のみなさんの声がイヤモニ越しにも聞こえてきたりして、感動的でした。
──このライブが自信にもつながったのでは?
橋本 以前の取材でも、幕張でのライブは不安が大きいと言ってたと思うんですが、あの客席の光景を見てからは、もうそんなことは言ってられないなと思いました。高嶺のなでしこのライブのために予定を合わせて会いにきてくれたファンを、もっともっと幸せにしたいという前向きな気持ちになったし、アイドルという仕事に対しても向上心が芽生えた、そんなライブでした。
東山 ほんとにファンの方のあたたかさを感じて、これからも幸せになってもらいたいと改めて思いましたね。「たかねこにもっと大きくなってほしい」と自主的にいわゆる「布教活動」をしてくださった方たちもたくさんいて、その期待にもっと応えられるように頑張りたいと思いました。
城月 みなさんがいっぱいペンライトを振ってくださったあの光景は、自信につながる景色でした。それと同時に、ライブを定点カメラの映像で観返したときに、自分に足りないところ、次につながる課題も発見できて。これからはまたそこを突き詰めて頑張っていきたいと思えました。たかねこの一体感をさらに磨いていけたらいいなと思います。
──その幕張も含め、2025年はとても濃い1年でしたよね。さらに、1stフルアルバムも完成しました。『見上げるたびに、恋をする。』というこのアルバムは、高嶺のなでしこのベストアルバムとも言える充実した内容です。今できあがってどんな思いですか?
橋本 3年間活動してきましたが、アルバムを出せることはほんとにすごいことで、アイドルとしての憧れでもありました。たくさんの曲を歌ってきたし、いろんな高嶺のなでしこをこのアルバムで見せることができると思っています。1曲1曲に高嶺のなでしこの歴史が詰まっているんですよね。
東山 曲を聴いていると、「このときこんなふうにMVを録ったなあ」とか、「このときはツアー期間だったなあ」とか。当時のことを思い出して、高嶺のなでしことしての思い出をたくさん作れていると思って、嬉しくなりました。
城月 私も率直に嬉しいという気持ちです。このアルバムが出せたこと自体が、とっても嬉しいです。
“I'M YOUR IDOL”はファンの方にいちばん寄り添っている曲。アイドルとファンの関係性、たかねことファンの方たちの関係性が表現されている(城月)
──幕張のライブで、このアルバムに収録された新曲“花は誓いを忘れない”を初披露していましたよね。
橋本 そうなんです。歌詞に《高嶺のなでしこ》っていう言葉が入っているのは、“美しく生きろ”ぶりなんですよね。“美しく生きろ”では始めに《高嶺のなでしこ》っていう歌詞があって、“花は誓いを忘れない”では最後に入っています。たかねこの始まりと、これからのたかねこと、そんな対比を見せることができて、すごくいいなって思いました。
東山 この初披露の3日前がレコーディングだったんですよ。タイトなスケジュールで(笑)。レコーディングのときには、事前に自分なりに曲を解釈して練習して臨んでて。当日にHoneyWorksさんが「こういうニュアンスで」とアドバイスをくださって完成させるんですけど、今回はレコーディングからライブ披露が短期間だったので、自分のものにするのが難しかったですね。歌うだけでも難しかったのに、ダンスも合わせないといけないし。でも新曲を楽しみにしてくださるファンの方たちの姿を目にしたら感動してしまって、すごく気持ちを込めて歌うことができました。3年間活動してきて、辛いことも乗り越えてきたからこその歌詞だし、今これを歌えることが嬉しくて。
橋本 《涙の後/見上げた空は同じだった》という歌詞があって。恵里沙が言ったみたいに、この3年間、嬉しいことだけじゃなくて辛いこともあって、ほんとにいろんな種類の涙を流してきました。でも、その涙のあとも今も、「高嶺のなでしこをもっと広めていきたい」とか、「ファンの人たちを幸せにしたい」とかみんな同じ気持ちだったよなって。]
──アルバムでは、その“花は誓いを忘れない”から、ラストの “I'M YOUR IDOL”につながります。この2曲の流れは、そんなみんなの思いをしっかり表現していますよね。
橋本 そうですね。“花は誓いを〜”では絆とか覚悟を歌っていて、“I'M YOUR IDOL”はやさしく包み込むように、ファンの方をあたたかい気持ちにさせる曲だと思うんですよね。なのでこの曲順はすごく嬉しいです。私たちは海外のライブにも出させてもらうことがあって、2月からはアジア地域も回るツアーがあるんですけど、《言葉国境も越えて/魂揺らすハーモニー》っていう歌詞がすごく好きです。言葉も国境も越えて、たかねこを愛してくださっている方がいるというのはすごいことだと思うので、ファンの方に感謝の気持ちを伝えられる曲がアルバムの最後にあるのは、私も嬉しいです。
城月 “I'M YOUR IDOL”はファンの方にいちばん寄り添っている曲だと思ってます。アイドルとファンの関係性というか、たかねことファンの方たちの関係性が表現されている感じがすごくいいですよね。初めて聴いてくださる方にも、高嶺のなでしこのことを理解していただける曲なんじゃないかと思っています。