──“億万長者”には《お金で買えない物を知っているかい?》というラインがあります。これまでも、曲を聴いていると、フレックス(富や成功を誇示すること)するLEXと、お金で満たされないということを歌うLEXが、いつもせめぎ合ってる印象があって。でも今回の作品は、どちらかというと後者に寄っている気がしました。それはありますね。最近はあんまりフレックスしてないです。服にももうあまり興味ないのかもしれない。なんか、ジュエリーよりおもちゃが欲しくて(笑)。──(笑)。フレックスしていた時は、演じていたというより、あれはあれで物欲があった時なんですよね?物欲はめちゃくちゃありましたね。でも、今は服も買わないです。なんか、もったいないなって思っちゃって。本当に買わないから、店に行っても、お姉ちゃん(ダンサーのLiLi)やお母さんに「何か買いなよ!」って言われる。でもそのぶん、おもちゃに使う(笑)。子どもの頃の気持ちを忘れたくなくて。反省の気持ちとか、幼稚園で教わる「人をいじめない」みたいなことって、大人になるとできなくなっていく。そこに興味があるんですよね。それを追求してたら、おもちゃに行き着いた。──なるほど。幼少期の記憶で、今の自分に影響を与えてるなって思うことはありますか?ライブパフォーマンスかな。僕、WWE(アメリカのプロレス団体)が大好きで、小さい頃から観てました。人を驚かせたり悲しませたり、そういうエンタメ性が好きなんですよ。僕がやってるライブも、そこからの影響を受けてると思います。プロレスといえば、小さい頃はよく妹(アーティストのLANA)に技をかけられてましたね(笑)。最後は僕が負けるんですよ(笑)。──あはは。これまでも、家族との繋がりを歌詞にしてきましたよね。今も家族の仲はいいんですか?めちゃくちゃ仲いいですね。ライブにも来てくれるし、僕も会いに行くし。お姉ちゃんとは、ほんとにいつも「付き合ってる?」って言われるくらい仲良い(笑)。──以前、LANAさん繋がりでお母さんにも取材させてもらったことがあって。その時に、(LEXとLANAに対して)「売れても初心を忘れないでほしい」みたいなことをおっしゃってたのが印象的でした。確かにお母さんはそういうところあるかも。僕、一回すごい調子に乗ってた時期があったので。尊敬の気持ちを忘れてた時があって。今では普通に悩みもお母さんに話します。──息子が母に悩みを話すという関係性自体が結構珍しいですよね。世の中、そういう関係の母と息子ってあまりいないかもしれない。確かにそうかも。でも、よく話しますね。恋愛の話もしますし。そこは、昔からそうでした。子どもの頃の気持ちを忘れたくなくて。反省の気持ちとか、幼稚園で教わる「人をいじめない」みたいなことって、大人になるとできなくなっていく。そこに興味がある
──LEXという飾らないアーティストが、今後どういった存在になっていくのかすごく興味があります。ご自身としては、どんなアーティストを目指しているんでしょうか?よりシンプルになりたい。歌詞のトピックももっと広く扱いたいし、そのためには勉強も必要だし、いろんな国に行って肌で感じたいことがたくさんある。でも、海外進出はあまり考えてないんですよね。みんな海外で売れたいって言うけど、自分はそんなに思わないな。まず、日本でやるべきことがある。使う日本語も、より澄んだものにしていきたいし。──確かに、今作はとても日本語が澄んでいますね。最近のジャスティン・ビーバーとかにも近いような、飾らない本音を出すポップさを感じる。ジャスティンいいですよね。自分はすごく世代です。小学生の時、“ベイビー”とか聴いてました。──ちなみに、ラップ出身のポップアーティストとしては、ポスト・マローンとかはもしかするとLEXと近いところがあるのかもと思いました。ああ。ポスト・マローンは、自分のカントリーのルーツを辿っていった結果、今の形になったと思うんです。そう考えると、自分もルーツを辿って今の形になっているので、ちょっと似てるかもしれない。──ラップシーンとロックシーンのブリッジになるぞ、みたいな自覚ってありますか?いや、それはないです。それを言った瞬間に、なれない気がして。そこは無意識でいたい。よりシンプルになりたい。歌詞のトピックももっと広く扱いたいし、そのためには勉強も必要だし、いろんな国に行って肌で感じたいことがたくさんある
スタイリング=Kan Fuchigami